1998年01月号:波多 利朗のFunky Goods
Psionシリーズのなかでも異彩を放つ
ハンディターミナル「Psion Workabout」



 波多 利朗の Funky Goods連載再開の第6回目。Psion社製の産業用ハンディターミナルであるWorkaboutを取り上げた。この端末を入手したのは1997年の5月のことで、本誌編集部から筆者の元に送られてきたのである。日本代理店のワカバ産業から提供された試供品とのことであった。同社は、この端末のハードウェアに、GUIのメニューなどOSの一部を日本語化するための開発用DYLおよびフォントファイルをセットにして販売していた。

 産業用設備の保守点検や輸送業のトラッキングなどの用途向けの本製品が、一般廃人読者向けの本誌編集部に送られてきたというのは、今に至るも謎である。察するに、本誌1995年10月号で紹介したPsion Series 3/3a用の日本語簡易エディタ「JEdit」の作者である柴隠上人稀瑠冥閭守 (Kerberos)氏と、筆者を通してコンタクトを取りたかったのかも知れない。なにしろ人間嫌いで奇人変人の同氏は「JEdit」の公開に際しても自ら表にでることはせず、「代理人」の筆者に任せきりだったのだ。

 それはともかく、この製品はプロ用ハンディターミナルとしては大変良くデザインされた端末であった。優れた防水、耐塵、耐衝撃性能はもとより手袋をした状態でも操作しやすいボタン配置などは、イギリスの工業デザインのレベルの高さを如実に表していると言っても過言ではない。本稿では、Workaboutのハードウェアの紹介と、柴隠上人稀瑠冥閭守 (Kerberos)氏が開発したWorkabout用JEditのインストール方法等について解説した。中でも興味深いのは、上述のワカバ産業のフォントファイルとDYLを用いてメニューを日本語化したJEditで、フォントファイルも商用のリョービ本明朝が採用されている。




(補記)
 本稿の末尾に、発売されたばかりのPsion Series5互換機であるGeofox-Oneについての速報を囲み記事として掲載した。本家Series5よりも大きな液晶画面とグライドポイントを備えるこのマシンは、発表直後からマニアの注目を集めていたが、本稿執筆時点では筆者はまだ入手していなかった。その後、1997年の12月21日に、秋葉原のT-ZONEに五台入荷したうちの最後の一台をゲットして、本誌の3月号で紹介したのだった。