腕時計型PCと言えば、セイコーインスツルメンツのRuputerが有名だが、今回取り上げるのは、そのOEMバージョンのMatsucom OnHandという製品である。Ruputerが登場したのは、1998年のことで、PCアーキテクチャを搭載した端末して話題となった。開発環境がオープンであったこともあり、多くのマニアが様々なプログラムを開発して腕を競い合ったものだ。ウェアラブルコンピュータ時代を予見させる画期的な製品だったと筆者は今でも高く評価している。
しかし、そのRuputerもマニアックすぎる仕様だったのが祟って、2年後には、ディスカウントショップで投げ売りされる状態となってしまった。筆者は、2000年の正月に、東京田町の駅ビルにあるキムラヤで、8000円ほどで売られているのを見かけた記憶がある。進化の早いIT業界のこと、Ruputerも過去の製品となってしまうのかと思っていたのだが、しばらくするとアメリカでOEM製品が売られているらしいという情報を耳にするようになった。それがMatsucom OnHandだったのである。
早速取り寄せて調べてみると、紛れもなくRuputerのOEM製品であった。ただしアメリカでの販売を前提としているため、メニュー表示やソフトウェアキーボードは、英語対応となっている。細かい機能改善や動作クロックの向上が図られており、バージョンアップしたRuputerというのが第一印象だった。
そのままでは日本語が文字化けするという問題があったが、Matsucomのサイトで公開されているパッチを適用してフォントセットを切り替えることにより簡単に解決することができた。しかし、元々日本メーカが製造し、日本語フォントを搭載しているマシンに、パッチを当てて日本語を表示させるというのが、どうにも屈折した話ではあった。
とは言え「日本語化」してしまえば、高性能版Ruputer以外の何物でもなく、快適に使用できた。以前の記事で簡単に紹介した、Ruputer用の日本語エディタ、RupEditもサクサクと動作したものである。
今回は、ATARI Portfolio用の怪しいグッズの紹介もしている。Portfolioの拡張スロットに接続して使う「診断カード」だが、マニュアルが無いため動作確認もできないというトホホな製品であった。また、かねてから探していたPsion MC200をイギリスのジャンクショップから入手したことも報告されている。記事の最後で、当時国立科学博物館で開催中だった「テレビゲームとデジタル科学」展に展示されていたENIACの実物について紹介した。筆者は、ENIACマニアで、ブログでもこの展覧会の紹介をしているのだ。前フリは、昭和30年代の素朴なおもちゃについて取り上げた。このようなレトログッズを懐かしむと歳がバレてしまうのが難点だ。