2002年冬号:なにをいまさら HP95LX



 パームトップPCの歴史を語る際に、避けて通れないのがHP95LXである。多くの謎ぱ~機に影響を与え、DOSベースパームトップの標準原基ともなったこのマシンについては、既に数多くの解説書が出版されており、「いまさら」本稿で取り上げることに躊躇が無かったと言えば嘘になる。とは言え、登場から十年が経過した2002年現在、ドッグイヤーと言われるIT業界においては、このマシンは既に歴史の一部となりつつあった。本稿において改めてHP95LXから始まるHP社のパームトップ機の流れを振り返り、日本語化の詳細について整理しておくことには資料としての価値があると考えて執筆を決意した次第である。

 HP95LXに端を発するHP社のパームトップPCは、メジャーブランドの製品だけあって、サードパーティー製も含め、色々な周辺機器やソフトウェアが存在した。これらについて、一度に扱うのは紙面の都合上不可能だったので、二回にわけて次号で紹介する構成とした。

 今回は、歴史的名機を扱ったため思いのほか筆が進み、前フリのためのスペースが少なくなってしまった。筆者の真空管式クラシックラジオ受信機のコレクションについて紹介したいと考えていたのだが、一部の製品の同調パネルの写真しか掲載できなかったのは残念であった。






HP95LX
HPのLXパームトップシリーズの記念すべき最初のモデル。筐体のデザインは、後継機種の100LXや200LXに受け継がれた。

歴代HPパームトップの揃い踏み
左から95LX、100LX、200LX、1000CX。200LXのみ筐体の色が異なるが、その他は、どれもほぼ同じデザインである。1000CXは内蔵PIMを省略した変わり種。

95LXと200LXの筐体上面
色が異なる他に、エンブレムの大きさと筐体に刻まれた溝の本数が異なるなど細かい相違がある。

インターフェース形状の相違
95LXでは1列4ピン、200LXでは2列10ピンとなっている。インターフェースケーブルには変換コネクタが付属しており、どちらにも対応可能だった。

95LXと200LXのキーボード
左が95LX、右が200LX。内蔵アプリケーションの違いからキー配列には微妙な差異がある。

95LXと200LXの液晶表示
MDA互換の95LXと比較して、CGA互換の200LXの液晶画面は非常に解像度が高い。しかし文字が細かすぎて年寄りには辛い仕様となってしまったのは事実だ。液晶周りのパネルは、200LXの方が若干派手なデザインだ。

font.9を使用したJMEMOの画面
ここで使用したfont.9は、font.14を専用のツールで変換したものである。

font.14を使用したJMEMOの画面
font.9よりも見やすいが情報量は格段に落ちる。

KDISP95を使用したPhonebookの画面
日本語で入力した内容が表示されている。KDISP95により、HP95LXの内蔵アプリで日本語の表示が可能となった。

KDISP95をOFFにした状態
CTRL+*キーでKDISP95をOFFにすると文字化け表示となる。

FEPを用いてMEMO上で日本語入力
FEPを起動すると、画面下の2行が変換エリア及び表示エリアとして確保される。FEPはシスマネ上でCTRL+MENUキーを押すことにより起動する。

SANYO製
筆者コレクションの中でもダントツのデザインのSANYO製スーパーラジオの同調部。中心にマジックアイを配置するところなど、他に類例を見ない斬新さだ!

NISSAN製
まさか自動車メーカが作ったラジオではあるまいが...。メーカ名にNISSANの銘が入ったスーパーラジオ。丸い同調部と周波数を示す数字のロゴが、60年代のアメ車のスピードメータのようだ。

GENERAL製
ラジオメーカとしては有名だったGENERAL。これは同社が発売したゼニスタイプの同調ボタンを持ラジオの同調パネルである。このラジオでは、同調は通常のダイアルのほかにプッシュボタンでも行えた。

ミタカ電気製
ミタカ電気がAriaブランドで発売したラジオの同調パネル。オーソドックスなタイプであるが、文字のロゴと配色が秀抜。