パームトップPCのサラブレッドとも言うべきHP95LXについて、二回にわたり詳細に紹介した後は、趣向を一変して携帯ゲーム機のP/ECEを取り上げた。技術評論社という格式と品格のある出版社の季刊誌上で、ゲーム機についての記事を書くというのも些か場違いな感が無きにしもあらずだが、内容はゲーム機のハードウェア自体ではなく、その上で動作するP/Editという日本語エディタについての解説となっている。
P/Editは、四つのボタンと十字カーソルキーしか持たないゲーム機上で、かな漢字変換による日本語入力を可能にしたミニマルなテキストエディタである。開発者の柴隠上人 稀瑠冥閭守 (Kerberos)氏は、数々のパームトップマシン用の専用日本語エディタを公開しており、Psion s3用のJEditやATARI Portfolio用のPEDについては、この連載で紹介した。P/Editは、これらの日本語エディタから派生したものであり、さら遡るとその起源は、パームトップPC黎明期に、HP95LXで用いられた簡易日本語エディタのJMEMOに行き着く。本記事では、JMEMOに端を発する、これらの専用日本語エディタの系譜を辿り、その極北に位置するP/Editの概要と操作方法のあらましについて述べた。
それにしてもゲーム機上で動作する日本語エディタというのは、ユニークを通り越して突飛な発想だ。初めて見せられた時には、呆れてしまったものだ。P/ECEは、開発環境が無償で提供されていたこともあり、多くのマニアが様々なプログラムを作成・公開したが、ミニマルとは言え、一通りのかな漢字変換機能を備えた日本語エディタは、P/Edit以外には存在しなかったと記憶している。柴隠上人 稀瑠冥閭守 (Kerberos)氏は、その後、P/Editを元に様々な携帯端末用の日本語エディタの開発を進めるのだが、執筆時にはそんなことは知る由もなかった...。
今回の前フリは、筆者がこれまでに愛用してきたKODAKのデジタルカメラについて取り上げた。DC210Zoomに始まり、DC4800に至るKODAKデジカメの遍歴だ。これらの製品は、いずれもコダックブルーと呼ばれる、抜けるような青空の発色が特徴的で、一度ハマってしまうと逃れられない魅力がある。特にお気に入りなのは、DC4800で、この製品については、本サイトのSchwarzschild Cafeでも詳しく述べた。
また、あとがきでは、長野県塩尻市にあるレストハウス国界のラーメンも紹介している。筆者一推しの逸品だ。