■ KMZ ZORKI−S ■


KMZ ZORKI-S 外観


                                 
 KMZ社のZORKI-Sは、ZORKI Type-1eをベースに改良を加えたものだ。  
Type-1eとの相違は一目瞭然で、軍艦部が5mm程度高くなっている。このプ
ロポーションの違いによる視覚効果は思った以上のものがあり、ZORKI-1 
シリーズのようなコンパクトでタイトな雰囲気を若干スポイルしている。

 ZORKI-Sは1955年〜1958年の期間中に、472,702台が製造された。   
ZORKI-Sの一部機能を拡張したZORKI-2Sは、1955年〜1960年の間に214,903
台が製造されている。ほぼ同じ機能を持つこれら2製品は、約5年間に70
万台近くも製造されたことになる。そのため、今日でも比較的良く見かけ
るモデルであると言える。                     

 仕様面でも、ZORKI-1シリーズとは細かい相違が見受けられる。ZORKI-1
シリーズでは、フィルムの巻き取りの際にレバーを操作するが、ZORKI-S 
ではZORKI-2などと同様、シャッターボタン周囲に設けられたリングを押 
し下げて回す方法を採用している。機能面での強化は、シンクロ接点の搭
載であろう。シャッタースピード設定ダイアル部分に、25msまで設定可能
はシンクロセレクターが装備されている。シンクロ接点は、本体正面左側
上部に搭載される。このシンクロセレクターの設定を30msまで拡張した製
品が、ZORKI-2Sとなっている。                   

 一方、ZORKI-2とZROKI-S及びZORKI-2Sとを比較すると、以下のような相
違がある。                            

 ・軍艦部上で、シャッタースピードダイアルが搭載されている部分が一
  段高くなっているが、ZORKI-2の場合、この部分に傾斜が付けられて 
  いる。他方、ZORKI-S、ZORKI-2Sでは垂直に切り立っている。    
 ・シンクロセレクターが無い分、ZORKI-2の方がシャッターボタンが低 
  い。                             
 ・ZORKI-2には、ボディ前面にKIEVタイプのセルフタイマーが付いてい 
  るが、ZORKI-S、ZORKI-2Sには無い。               

 ZORKI-SにはZORKI-1シリーズと同様、ストラップを吊り下げる吊り環は
無い。バルナック型ライカ同様、底蓋しか取れない構造になっているため
フィルムの詰め替え時にはテレフォンカードなどを使用するおなじみのテ
クニックが必要となる。                      
メーカー KMZ社
モデル名称 ZORKI−S
製造期間 1955 - 1958
総生産台数 472,702 台
掲載モデルの製造年 1956 年
掲載モデルのシリアル番号 56005670 番
シャッタースピード B、1/25、1/50、1/100、1/250、1/500
搭載レンズ INDUSTAR-22 50mm/F3.5
搭載レンズのシリアル番号 N6222853
搭載レンズのマウント形式 ライカ・スクリューマウント

KMZ ZORKI-S 正面


KMZ ZORKI-S 上面


KMZ ZORKI-S 背面


KMZ ZORKI-S ロゴのアップ


KMZ ZORKI-1(左)と ZORKI-S(右)


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