KMZ社のZORKI-Sは、ZORKI Type-1eをベースに改良を加えたものだ。 Type-1eとの相違は一目瞭然で、軍艦部が5mm程度高くなっている。このプ ロポーションの違いによる視覚効果は思った以上のものがあり、ZORKI-1 シリーズのようなコンパクトでタイトな雰囲気を若干スポイルしている。 ZORKI-Sは1955年〜1958年の期間中に、472,702台が製造された。 ZORKI-Sの一部機能を拡張したZORKI-2Sは、1955年〜1960年の間に214,903 台が製造されている。ほぼ同じ機能を持つこれら2製品は、約5年間に70 万台近くも製造されたことになる。そのため、今日でも比較的良く見かけ るモデルであると言える。 仕様面でも、ZORKI-1シリーズとは細かい相違が見受けられる。ZORKI-1 シリーズでは、フィルムの巻き取りの際にレバーを操作するが、ZORKI-S ではZORKI-2などと同様、シャッターボタン周囲に設けられたリングを押 し下げて回す方法を採用している。機能面での強化は、シンクロ接点の搭 載であろう。シャッタースピード設定ダイアル部分に、25msまで設定可能 はシンクロセレクターが装備されている。シンクロ接点は、本体正面左側 上部に搭載される。このシンクロセレクターの設定を30msまで拡張した製 品が、ZORKI-2Sとなっている。 一方、ZORKI-2とZROKI-S及びZORKI-2Sとを比較すると、以下のような相 違がある。 ・軍艦部上で、シャッタースピードダイアルが搭載されている部分が一 段高くなっているが、ZORKI-2の場合、この部分に傾斜が付けられて いる。他方、ZORKI-S、ZORKI-2Sでは垂直に切り立っている。 ・シンクロセレクターが無い分、ZORKI-2の方がシャッターボタンが低 い。 ・ZORKI-2には、ボディ前面にKIEVタイプのセルフタイマーが付いてい るが、ZORKI-S、ZORKI-2Sには無い。 ZORKI-SにはZORKI-1シリーズと同様、ストラップを吊り下げる吊り環は 無い。バルナック型ライカ同様、底蓋しか取れない構造になっているため フィルムの詰め替え時にはテレフォンカードなどを使用するおなじみのテ クニックが必要となる。
メーカー | KMZ社 |
モデル名称 | ZORKI−S |
製造期間 | 1955 - 1958 |
総生産台数 | 472,702 台 |
掲載モデルの製造年 | 1956 年 |
掲載モデルのシリアル番号 | 56005670 番 |
シャッタースピード | B、1/25、1/50、1/100、1/250、1/500 |
搭載レンズ | INDUSTAR-22 50mm/F3.5 |
搭載レンズのシリアル番号 | N6222853 |
搭載レンズのマウント形式 | ライカ・スクリューマウント |