KMZ社のZORKIシリーズは、1949年にバルナックライカのコピー製品とし てのZORKI Type-1aをリリースした後、ZORKI-1〜6までのラインナップを リリースしている。その後、7,8,9の型番は使用されず、オート機能 搭載のレンズシャッターカメラシリーズとして、10、11、12を発売した。 10以降の製品はいわば新生ZORKIとも呼べる製品であり、もはやライカコ ピー機としての面影は微塵も無いが、これはこれでスペースエイジ感覚に 富んだ優れた製品であると言える。 ZORKI-10は、ソビエト初の35mm版オートマチックカメラである。コピー 物がお得意のソ連製らしく、本カメラは1961年に発売されたリコー製EEカ メラ、RICOH AUTO-35のコピー製品である。そのため、シャッターチャー ジレバー、フィルム巻上げレバー、背面パネルの造形等は、AUTO-35その もと言って良いほど、良く似ている。 ZORKI-10には、プロトタイプと量産品の2種類が存在する。量産モデル は33万台以上を製造している。また、ZORKI-10からレンジファインダー部 分を削除したZORKI-11も発売され、こちらは6万台余りが製造された。 ZORKI-10、11共に外観上の大きな相違はほとんど無い。 ZORKI-10は、1964年〜1978年の期間にかけて製造された。カメラボディ ー全体がメタルで出来ており、その重量感と存在感は圧倒的だ。ボディー 表面は、前面がクロムメッキ、背面がブラックとなっており、余分な飾り の類は一切無く、極めてストイックなデザインとなっている。 レンズ鏡胴部分には、1.5m〜∞のフォーカシングリング、バルブ設定レ バー、絞り設定レバー、ASA設定リングが備わる。絞りはオートの他に、 2.8〜22まで、7段階に設定が可能だ。ASAは20〜320まで、8段階に設定 することができる。レンズはINDUSTAR-63、45mm/F2.8が搭載され、レン ズの周囲には一面セレン受光部が配置されている。ピントは、ファインダ ー中央部分の二重像を一致させて調整するが、意外と見やすい。またファ インダー下部には、露出計の指針が見えるようになっている。 このカメラの最大の特徴はフィルム巻き上げレバーで、ボディ底面に搭 載されている。同じく底面にはフィルムカウンターも搭載される。背面の カバーは、カメラ本体右側下にあるレバーを押し下げることで開くことが できる。カメラ背面にはファインダー以外には何も無く、非常にシンプル である。本家のRICOH AUTO-35は、前面がクロムとブラックの2分割カラ ーとなっており、背面パネルにはフラッシュのガイドナンバーを示す表が 添付されているが、ZORKI-10にはこういった装飾が一切無い。デザイン的 にはRICOHの上を行くと言っても差し支え無いであろう。 KMZ社の代表的なブランドであったZORKIの型番は、1967年〜1968年に製 造されたZORKI model-12で打ち止めとなる。ZORKIシリーズの最後を飾る model-12はたかだか7,200台が製造されたに止まり、全くの不振に終わっ てしまった。その理由は、フィルムにRAPIDフィルムという特殊な仕様の フィルムを採用したためであった。
メーカー | KMZ社 |
モデル名称 | ZORKI−10 |
製造期間 | 1964 - 1978 |
総生産台数 | 332,144 台 |
掲載モデルの製造年 | 1967 年 |
掲載モデルのシリアル番号 | 6728674 番 |
シャッタースピード | B、1/30 − 1/500 |
搭載レンズ | INDUSTAR-63 45mm/F2.8 |
搭載レンズのシリアル番号 | N0021456 |
搭載レンズのマウント形式 | 固定 |