KMZ社(Krasnogorski Mekhanicheskii Zavod − Mechanical Engineer- ing Factory of Krasnogorsk:クラスノゴルスク機会工場)製造のフォー カルプレーンシャッターカメラの代表であるZORKI(ゾルキー)シリーズ は、バルナック型ライカのコピー製品として、第二次大戦後間もない1949 年にType-1aが発売された。以後、1980年までの間に、1〜6、10〜12の 各シリーズが続々とリリースされている。面白いことに、7〜9の番号は 欠番となっている。ゾルキーとはロシア語で「眼光の鋭い」といった意味 を持つ。初期型ZORKIは、LEICAU型のデッドコピーであり、本家LEICAが 購入できない貧乏ユーザには特に人気が高い。まさに「プアマンズ・ライ カ」という言葉がピッタリ当てはまるカメラと言えよう。 ZORKI-1は、Type-a〜Type-eまで4種類がリリースされている。各機種 の発売年は、下記の通り。
ZORKI-1 Type-1a | 1949 − 1950 |
ZORKI-1 Type-1b | 1950 − 1951 |
ZORKI-1 Type-1c | 1951 − 1953 |
ZORKI-1 Type-1d | 1953 − 1954 |
ZORKI-1 Type-1e | 1954 − 1956 |
各タイプの外観は、ロゴ以外ほとんど同じと言って良いが、Type-1aの みシャッターボタンにリリースケーブルが付かないタイプとなっている。 筆者は現在3台のZORKI-1を所有しているが、製造番号はそれぞれ 478261、484894、55182531となっている。通常、ロシアカメラの場合は、 製造番号の上2桁が製造された西暦を表示している。そのため1台はおそ らく1955年製造のType-1eと思われるが、他の2台については詳細は不明 である。資料によると、Type-1bの製造番号はNo.7500〜No.44822となって いるそうなので、Type-1cの可能性が高い。これら3台のZORKI-1は、外観 上の相違はロゴも含めてほとんど無いのだが、シャッタースピード設定の みが異なっている。Type-1eではBから1/500まで、6段階設定可能である のに対し、Type-1cと思われる2台はBから1/500まで、8段階に設定可能 となっている。設定可能なシャッタースピードにも違いがある。また、 Type-1cでは開放表示がZとなっているが、Type-1eではBとなっている。 ZORKI-1の本体裏蓋はバルナック型ライカと同様、ボディ背面全体が開 かず、底面のみ開く構造となっている。そのため、フィルムの入れ替えは 若干面倒だ。フィルムの一部を切り欠いてから装填するかもしくは装填時 にテレホンカード等を用いるといった、LEICA使いの人にとってはお馴染 みのテクニックが必要となる。 ZORKI-1には、他のほとんどのZORKIシリーズと異なり、ストラップを付 ける輪(吊り環)が無い。そのため、ケースはストラップ付きのものを購 入する必要がある。標準搭載されるレンズは、INDUSTAR-22、50mm/F3.5で 沈胴タイプである。INDUASTAR-22は、FED−ZORKI時代から搭載されていた もので、初期型はシリアル番号がフォーカシングプレートの裏側に記載さ れているが、後期型は正面のレンズ周囲に記載される。筆者所有の3台に は、それぞれ5224138、6222853、7178874の各番号のレンズが搭載されて いた。なお、レンズキャップにはROWI製36mm Slip-on lens capが使用で きる。 肝心の写真写りであるが、とても40年前のロシアカメラとは思えないほ どの出来である。バルナック型LEICAを忠実に模した製品だけあり、調整 が取れている個体であれば、本家と遜色の無い写真が期待できる。こうし たこともあり、LEICAを持ちつつ、実は密かにZORKIを使って楽しんでいる といったマニアも多いようだ。
メーカー | KMZ社 |
モデル名称 | ZORKI−1 |
製造期間 | 1949 - 1956 |
総生産台数 | 24万台以上 |
掲載モデルの製造年 | 不明 |
掲載モデルのシリアル番号 | 478261 番 |
シャッタースピード | B、1/20、1/30、1/40、1/60、1/100、1/200、1/500 |
搭載レンズ | INDUSTAR-22 50mm/F3.5 |
搭載レンズのシリアル番号 | N5224138 |
搭載レンズのマウント形式 | ライカ・スクリューマウント |