FED社の代表作であるFED-2シリーズは、1950年にプロトタイプが制作さ れた後、1970年に至る20年間に、実に200万台以上という猛烈な台数が製 造されたという、ロシアカメラ屈指のベストセラーモデルである。プロト タイプは1950年に登場したが、実際の量産モデルであるType-aが出たのは 1955年のことだ。このType-aだけでも、製造台数は20万台を越える。 FED2シリーズは連動距離計を内蔵したライカコピーのカメラである。製 造期間が比較的長かったこともあり、この製品には多くの品種が存在して いる。製造年月日と製品のタイプは、下記の通り。
FED-2 Type-a | 1955 − 1956 |
FED-2 Type-b | 1956 − 1958 |
FED-2 Type-c | 1958 − 1960 |
FED-2 Type-d | 1958 − 1963 |
FED-2 L | 1963 − 1969 |
FED-2 Type-e | 1969 − 1970 |
ここに掲載したモデルは、FED-2シリーズの、Type-dと思われるもので ある。本来、Type-dのロゴは、本体正面にキリル文字で大きくFED-2と書 かれているのだが、この個体ではキリル文字と英文字のダブルで記載され ており、後のFED-2 Type-eやFED-3と同じとなっている。どうやら、この 製品はType-dの最後期バージョンで、ロゴのみを従来の表記から変更した ものだと判断できるが、正しいかどうかは不明。このように、素性が微妙 に怪しいところも、いかにもロシアカメラらしいと言えよう。 因みに、FED-2の量産型は、外形的に見て大きく2種類が存在する。 Type-a〜Type-2Lは軍艦部に段差が有り、吊り環が搭載され正面にキリル 文字でFED-2と大きく記載されている。一方、Type-eは軍艦部が平坦とな り吊り環が無く、ロゴがキリル文字と英文字のダブルで記載されている。 また、双方では距離計窓の位置も異なっている。FED-2シリーズでType-e のみ他と形状が大きく異なる理由は、Type-eがFED-3 Type-bの廉価版とし て発売されたことによる。 FED-2 Type-dは、Type-cのシャッタースピード設定部分の構造を改良し たものだと言われている。シャッターは開放から1/500まで、6段階に設 定が可能となっている。本体のシリアル番号は2388274となっていた。 本モデルには、標準でType-cと同様FED-INDUSTAR26m、52mm/F2.8が搭 載されている。このレンズは FED-2 Type-d以外にはFED ZARYAにも搭載さ れていたものだ。その後のモデルであるFED-2Lからは、標準でFED- INDUSTAR-61、52mm/F2.8が搭載される。
メーカー | FED(フェド)社 |
モデル名称 | FED−2(Type−d) |
製造期間 | 1958 - 1963 |
総生産台数 | 全タイプ合計で200万台以上 |
掲載モデルの製造年 | Type-d(1958 - 1963) |
掲載モデルのシリアル番号 | 2388274 番 |
シャッタースピード | B、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500 |
搭載レンズ | INDUSTAR50 (50mm/F3.5) |
搭載レンズのシリアル番号 | N5985112 |
搭載レンズのマウント形式 | ライカ・スクリューマウント |