■UNITREX 1201M UNITREXは、EIKO BUSINESS MACHINE社の電卓 ブランドである。製造はおそらく1973年、発売は1974年と思われる。 ○○ビジネスマシンという名称が電卓メーカーに盛んに用いられたことは前に も述べたが、この製品も栄光ビジネスマシン社が製造したものである。栄光ビ ジネスマシン社は、日本事務機器年鑑1970年および1971年にも掲載さ れているメーカーである。ユニトレックスブランドも、当時は結構有名なもの だったようだ。
写真4:UNITREX 1201M 本体側面 |
写真5:UNITREX 1201M 本体背面 |
UNITREX 1201Mは、12桁のオレンジ発光FIPを表示デバイ スに採用した製品で、四則演算にメモリ機能が付いている。小数点制御は0, 2,4,6に設定可能となっている。メモリ、マイナス、オーバーフローの表 示は、LEDで行うようになっている。外寸は24.5×19×5cm程度。 AC電源駆動で、電源コードは取り外し可能である。仕様的にも大きさ的にも 既出の東芝HOMELAND 1212Sとほぼ同程度と考えられる。本体銘 板によると、定格は6W、シリアル番号はD47F39810となっていた。
写真6:本体上面のロゴアップ |
内部構造はMOS−IC化により簡単である。この電卓も、プレシーザと同 様、モステック社製LSIを使用している。完全なワンチップ化とはなってお らず、2個のLSIから構成されている。2個とも40Pinのセラミックパ ッケージで、外見はあたかも8ビットマイコンのCPUのような感じである。 どちらもソケットに挿入されており、取り外し可能となっている。おそらく、 機能ごとにLSIを差し替えて商品化できるよう、配慮したためであろう。 SANWA PRECISA M−12も、このようにメインとなるLSIが ソケットで実装されていた。本機のデバイスの型番は、下記の通り。 MOSTEK MK5014P R1200−2 7335G MOSTEK MK5013P R1200−1 7349C どちらの石も、韓国で製造されたものとなっている。ベークライトの基板上に は、この他にトランジスタ2個、14PinのICが2個、FIPドライバが 2個(IC6259とIC5317)が搭載されている。 同じモステック社製LSIを採用したSANWA PRECISA M−12 は、MOSTEK MK6010を搭載しており、ワンチップ構成となってい た。それに比較すると、UNITREX 1201Mは2チップ構成になって おり、集積度は高くない。
FIP表示はオレンジ色で、視認性は良い。FIPドライバはIC6259 とIC5371の2個のモジュールで構成されている。その他に目に付く部品 は大型のコンデンサ程度で、回路構成は比較的すっきりとまとまっていると言 えよう。キーボードはゴム接点タイプのもので、若干カチャカチャした感じが あるものの押しやすい。 本製品もビジネス用途として販売されたため、質実剛健のデザインとなって いる。しかし、いかにも70年代の製品らしく、本体側面の流れるようなライ ンに、どことなくスペースエイジを感じさせるものがある。