■TOKO TD−802D TOKO TD−802D(MINI−8)は、電卓組み立てキットとして 発売された製品で、1974年当時は結構有名であった。1970年代の中頃 ディジタル表示の時計キットや電卓キットが流行ったことがあった。時計専用 LSIや電卓専用LSIの出現により、それまで複雑で多数の部品を使用しな ければ実現できなかった製品が、非常に簡単に組み立てられるようになったた めである。この電卓キットでも、メインとなるLSIは1個のみで、簡単な半 田付けだけで製品を組み立てることが可能だ。 発売元は東興化学工業株式会社というところ。社屋は東京都世田谷区尾山台 にあったようだ。TD−802Dは、完成品(¥8,900)とキット(¥ 7,500)の2種類が用意されていた。同社製品には、このTOKO MI NI−8の他にも、TD801Kというデスクトップタイプの大型電卓キット (¥16,000円)や、ワイヤレスインターホンキット(¥8,000)な ども発売していた。また1974年9月発売のトランジスタ技術の広告を見る と、EEC(エレクトロニック・エンジニアリング株式会社)というところか らもJ−800Kという8桁薄型電卓キットが発売されている。
TOKO MINI−8であるが、単三乾電池4本もしくはACアダプタで 動作するポータブルタイプの電卓である。機能的には四則演算のみの基本的な もので、メモリも搭載されていない。外寸は15×9×4cm。本体裏面には 単三乾電池4本を格納する電池室が設けられている。 キーボードはゴム感覚のグニャグニャしたもので、タッチは極めて悪い。 FIPは数字8桁+エラー(E)1桁がモジュール化されているのもので、グ リーンに発光する。ACアダプタは6V(外側+極性)タイプのものを使用す る。シリアル番号は848491。本体裏面には、計算のしかたを示したパネ ルが貼付されている。 別売りのアクセサリーとしては、ACアダプター、キャリングケースが2タ イプ(A、B)、LSIソケット、ニッカド電池などがあったようだ。LSI ソケットを搭載することにより、メインの演算チップをTI社製の他の電卓用 LSIに差し替えることができ、仕様変更も楽しめたようである。
メインとなるLSIはTI社製電卓専用チップ、TMS0101ANC (73年51週製造)1個のみである。このLSIは28Pinのプラスチッ クDIPの石で、FIPモジュールのドライバ回路も内蔵しているので、他に 必要な部品は無い。FIPモジュールには東芝製E6520/DP80A2が 使用されている。ソーセージほどのガラス管に、8桁の7セグモジュールが格 納されており、外観はまるで真空管のようだ。 本体基板上には、プルアップ用の抵抗や、FIPモジュールに供給する電源 周りのCR類が若干実装されている程度である。
写真A:当時の雑誌広告 (クリックで拡大表示) |