■Texas Instruments TI−3000 TI−3000は、TI社が1973年頃に発売したデスクトップタイプの 8桁電卓である。その外観は、ポータブルタイプのベストセラー電卓、TI− 2500(DATAMATH)と酷似している。TI−2500を拡大して、 横幅を広げたようなデザインなのだ。本体側面を囲んでいる黒い帯といい、デ ィスプレイ部分のせり上がりといい、兄弟といっても差し支え無いくらいに良 く似ている。
写真4:TI-3000 本体側面 |
写真5:TI-3000 本体背面 |
写真6:TI-3000 本体裏面 |
デスクトップタイプ初期の製品に属する本機は、四則演算以外の機能は持ち 合わせておらず、極めてシンプルな電卓である。本体の外寸は21×15.5 ×6cm。内部に電源トランスを格納しているため、持った感じはずっしりと 重い。本体裏側の銘版には、下記の表記がある。 SERIAL NUMBER 3000−30793 Model:TI−3000 Volts:120V Freq :50/60Hz Power:8.0Watts 製造はアメリカ テキサス州ダラス。FIP表示は8桁+符号桁の構成で、 オレンジ色の7セグタイプ表示である。キーボードは極めてしっかりとできて おり、これだけの年月を経た後もチャタリングは皆無であった。
内部は、TI社製ワンチップ電卓専用LSI、TMS0109NC(28 PinプラスチックDIPパッケージ)と、同じくTI社製TTL−IC、 SN7406の2チップ構成となっている。その他に、FIPドライバ用とし て2N5400が10個使用されている。中央の目立つ円筒形の部品は、47 μFの電解コンデンサ。このコンデンサは、Al−Elkoというドイツの会 社の製品であった。電卓専用チップは1973年02週の製造。またTTL− ICは1973年05週の製造であった。したがって、この電卓も1973年 頃の製品と思われる。 FIPは9桁の7セグメント方式で、モジュール化されている。表面を覆う カバーは、透明なプラスチックでは無くガラスが用いられている。FIPモジ ュールのメーカー名は不明。 キーボード部分はメインのロジック基板に直接ハンダ付けされており、コネ クタ等は使用していない。基板裏面には、下記の表記がある。 PCP−86 CAL 10212D 8 DIGIT DISPLAY