■RICOH RICOMAC 1216 株式会社リコーが発売した電卓「RICOMAC 1216」である。本体 裏面にある銘版にはRICOMAC 1216の記載は無く、機種番号として 7550−00とだけ記されている。製造機番は48643。定格は3Wとな っている。 本体内部キーボード基板の捺印を見ると、昭和48年(1973年)4月 18日製造となっている。本体の大きさは24×20×6.5cmと、比較的 大型の電卓だ。電源はACのみで、ケーブルは取り外し可能タイプ。電源コネ クタはアース付きの一般的な形状のものを使用している。
写真4:RICOH RICOMAC 1216 本体側面 |
写真5:RICOH RICOMAC 1216 本体背面 |
写真6:RICOH RICOMAC 1216 本体裏面 |
表示は7セグタイプの蛍光表示管を使用した12桁構成で、数字表示用に 12本、記号表示用に1本の、計13本の蛍光表示管を用いている。記号表示 管は、オーバーフロー、メモリ、マイナス符号を表示する。機能としては、四 則演算の他にメモリー機能とΣ演算機能を内蔵している。キーボードはクリッ ク感が無いタイプで、ストロークが長くコクコクとして押しやすい。ただし、 経年劣化によるチャタリングが見受けられる。構造的には、それほど堅牢では 無いようだ。 この電卓がリコー設計のものなのか、それともOEM供給されたものなのか は不明であるが、本体底面の銘版には「THRK」という表示が見られた。
本体内部を見ると、ほぼワンチップ化された構成になっている。メインとな るICは日立製HD3574で、42PinのプラスチックDIPパッケージ 品。ICソケットに挿入されているので、取替えが可能となっている。この ICの周囲には、8個の16Pin DIP ICが並んでいる。使用されて いるデバイスは、下記の通り。 日立 HD3574 ×1個 東芝 TM4352P ×4個 日立 HD3256P ×1個 日立 HD3233P ×3個 ローム PC2419 ×1個 この他に、2SC945、2SA628、2SA495、2SC372とい ったトランジスタも搭載されていた。東芝製の4個のICは、おそらくニキシ ー管のドライバICと思われる。
蛍光表示管は1桁1本構成で、13本まとめてメタルフレームに固定されて いる。各桁ごとにカンマ「’」記号がついているタイプ。表示フォントはかっ ちりとした硬いフォントを使用している。電源回路はロジック基板の後ろ側に 位置している。機器全体で使用している基板は、ロジック部、電源部、キーボ ード部の計3枚となっている。 電卓のデザインとしては、ビジネス用途であることから、事務的で面白みは 少ない。極めて実用的な電卓と言えるであろう。