表示は各桁ごとに分離したニキシー管を採用しており、桁数は12桁+記号
1桁の計13桁。ニキシー管は非常に小さいタイプで、一見FIP表示のよう
にも見える。7セグタイプのものが搭載されている。なお、「0」表示は
Casio伝統の下付きの「0」となっている。
印字メカは活字をインクリボンの上から叩きつけるタイプで、数字と演算記
号が打刻できる。プリンタ部分の桁数は18桁となっている。機能仕様である
が、、メモリ機能を内蔵し、小数点制御は0,1,2,3,4,6がレバーに
より設定可能となっている。プリンタはON/OFFが可能で、ONにすると
値数時にも随時プリントアウトされ、計算の経過が保存できるようになる。
また、キーボード上にはプリンタのFEEDボタンも搭載されている。
本体裏面にはヒューズボックスと銘版がある。シリアル番号はC10904
0、定格は21VAとなっている。電源はコードが取り外し可能なタイプで、
コードにはパソコン等に良く用いられる3端子タイプが流用可能だ。
電源を入れると、かなり迫力のある動作音がする。プリンタメカの動作音だ
と思われるが、モーターがグイングインと回る音が絶え間なく聞こえるのだ。
これを一日中使用していると、かなりうるさくて参るであろう。ニキシー管の
表示は、電源投入後は全て「0」が表示される。
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写真12:R−3 本体内部構造 |
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写真13:メイン基板(表側)のアップ |
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写真14:演算用LSI群 |
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写真15:基板間の接続部分のアップ |
内部構造はプリンタユニットもあるため、かなり複雑な構成となっている。
メインとなる基板は2枚で、サンドイッチのパンのように、半田面を背中合わ
せで重ねて実装されている。ショート防止のため、2枚の基板の間には、ベー
クライトの絶縁板が挿入される。表側の基板はロジック部分で、裏側の基板は
ニキシー管ドライブ回路及びプリンタードライブ回路となっている。基板はガ
ラエポ製で、両基板間はリード線による手配線で接続されている。キーボード
ブロック、ニキシー管表示ブロック、プリンターユニットへは、専用のカード
エッジコネクタを介して接続される。以下に使用されている主なデバイスをリ
ストアップする。メインとなるLSIチップは日立製。その他、ほとんどのデ
バイスが日立製で、一部東芝製が使用されている。
・表面基板
HD32101P 42Pin DIP
HD32103P 42Pin DIP
HN3207P 24Pin DIP
HN3255P 24Pin DIP
HD3227P 16Pin DIP
HD3226P 16Pin DIP
HD3235P 16Pin DIP×2個
T1191 14Pin DIP
HD3214P 16Pin DIP
HD3213P 16Pin DIP
2SC371×5個
・裏面基板
IC5304
HD3219P 24Pin DIP×2個
HD3226P 16Pin DIP×2個
HD3223P 16Pin DIP
HD3251P 16Pin DIP
TM4352 18Pin DIP×4個
2SC371×多数
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写真16:裏側基板の全景 |
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写真17:活字プリンタ部のアップ |
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写真18:キーボード裏面 |
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写真19:磁力式リレースイッチのアップ |
ニキシー管は、フレームに小型のチューブを13本並べた構造となっており
キーボード基板の上部にマウントされている。この部分は完全なモジュールに
なっているので、一見するとFIPモジュールのようにも見える。キーボード
はカシオお得意の磁石リレースイッチタイプで、チャタリング等の誤動作は皆
無だ。プリンタブロックは完全なモジュール構成となっており、この部分だけ
単独で取り外しできる。故障した場合のメンテナンス製は優れている。プリン
タは0〜9までの数字と演算記号を打刻するタイプのもので、打刻メカ部分の
スプリングが露出している。当然、動作時の騒音はかなりうるさい。電源ブロ
ックはプリンタユニットの右横に配置される。
製造年を示す表示はほとんど無いが、プリンタ基板の一部に72年の捺印が
あった。部品の集積度から判断し、おそらく1972年の製造と思われる。