■Panac Model JE−2601 Panac Model JE−2601は、JE−800、802と比べ、 本体外観のデザインが大幅に変更され、より合理的な形になった。そのため、 JE−800のようにデザインを楽しむといった要素は皆無の、ごくごく当た り前の電卓となってしまった。JE−2601は、JE−800のように乾電 池とAC電源の2電源方式を採用している。製造は1977年で、1972年 製造のJE−800から5年経過しているだけのことはあり、省電力化はかな り進んでいる。使用する乾電池は単二が2本と半分で、消費電力は0.7Wと JE−800の実に1/4を達成している。この頃の製品から、電卓に使用さ れるデバイスの省電力化が著しく進み、小型化に拍車をかけることになる。
表示部分には12桁の青色FIPを採用しており、ニキシー管やオレンジ色の FIPを使用した製品のような、レトロな感じは薄れている。演算機能として は、ルート演算が加わっている。浮動小数点制御は本体右側のレバーで行い、 F、0、2、4の設定が可能であった。電池室内部に記載された本体のシリア ル番号は、73200328となっていた。 キータッチは、メカニカルスイッチ特有のカチャカチャと音がするタイプ。 JE−802のゴム接点タイプよりははるかに押した感じが良く、この点につ いては改良されている。
本体内部の構成は、さらにすっきりとしている。メインとなるチップはTI社 製40Pin DIPパッケージのLSI、TMS1273NL。77年6週 の製造である。このLSIの特徴は、FIPコントローラ、ドライバをチップ 内部に格納してしまったこと。そのため、前出モデルでは外部に出ていた表示 コントローラ部が、きれいさっぱり無くなってしまった。ディスクリート部品 としてのトランジスタは、わずかに2SA749が1個のみである。 また、FIP表示制御も、ダイナミック表示が採用されている。これにより消 費電力が少なくて済み、0.7Wという低消費電力を実現できたものと思われ る。(JE−802では、おそらくFIPはスタティック表示であったため、 5Wもの電力を消費していたものと思われる。)基板はベークライト製。この 電卓の内部構造を見ると、1チップで構成された電卓の一般的なものであり、 特に面白みは無い。なお、基板上には、下記の文言が、日本語と英語で印刷さ れている。 注意! トランスの取付ビスを はずしてからプリント 基板をはずして下さい。 キーボード部分はプリント基板でモジュール化されており、メイン基板とはフ ラットケーブルで接続されている。この辺も、アセンブル時のコストダウンに 貢献している。Panac JE−800、JE−802、JE−2601と 3台の電卓を見てみると、表示部分や使用部品に、電卓の進化を如実に見て取 ることができ、面白い。