リストマーク SANWA PRECISA GS-88 (1972年)

写真1.SANWA PRECISA GS-88 外観


写真2.SANWA PRECISA GS-88 蛍光表示管表示


 三和プレシーザ株式会社が製造した8桁デスクトップ電卓、GS-88。三和プレシーザ社の電卓は、本サイトでもM-12とGS-12の2機種を紹介しているが、このGS-88型はその中でも最もスマートなデザインのものである。キートップ部が丸くなっている形状などは、東芝製HOMELAND 1212Sやシチズン製TYOE 811Lを彷彿とさせる。

 三和プレシーザ株式会社は、スイスに本社を置くPRECISA LTD.の日本法人っだったようだ。本体裏面の銘板を見ると「AGENCY OC PRECISA LTD. SWIZELAND」といった記述が見受けられる。消費電力は6W。シリアル番号は3959となっている。

 本体外寸は21.5×14.5×6.5cm。本体周囲に金属のベルトが付いているのが特徴だ。キーボードはポップなデザインでストロークも深く押しやすい。本体製造年は、おそらく1972年と思われるが、今だにチャッタリング等の不具合は生じていない。機能的には単純な四則演算のみとなっている。表示は桁別に表示管を搭載した蛍光表示管で、7セグメント表示となっている。蛍光表示管は数字8桁+記号1桁の、総計9桁構成。緑色の表示窓越しに現れる。特に「4」の表示が特徴的で、どことなくカシオの電卓を思わせる。

 表示は8桁だが、スライドルールにより16桁まで扱うことが可能。そのため、キーボード状には「←→」キーが搭載されており、8桁以上の数字はこのキーで呼び出すことが可能となっている。数字の表示は緑色。GS-88本体背面にはちょっとしたギミックがある。本体周囲の金属製ベルトの一部がフック状に起きるようになっているのだ。おそらくこれは、電源コードを巻き付けておくためのものと思われる。

写真3.SANWA PRECISA GS-88 本体正面


写真4.SANWA PRECISA GS-88 本体側面


写真5.SANWA PRECISA GS-88 本体背面


写真6.SANWA PRECISA GS-88 本体裏面


写真7.SANWA PRECISA GS-88 本体裏面銘板のアップ
「AGENCY OC PRECISA LTD. SWIZELAND」の表記が見える。


写真8.本体背面にある電源コード格納用フック
おそらくは電源コードを巻き付けて保管するためのギミック。左右両側に付いている2つの爪を起こして用いる。


写真9.キーボードのアップ
丸いキートップがポップな感じを与えている。


 内部構造はロジック基板、キーボード基板、ニキシー管表示基板および電源トランスの4ブロックから構成されている。ロジック基板上にはメインとなる演算処理用LSIが4個搭載されている。ロジック基板上の主なデバイスは下記の通り。

  FDY280B-7008 71年39週製造 24PinプラスチックDIP
  FDY190B-7010 71年44週製造 24PinプラスチックDIP
  FDY310B-7014 71年39週製造 24PinプラスチックDIP
  FDY150B-5005 71年35週製造 24PinプラスチックDIP
  東芝 2SA467×10個
  東芝 2DC734×2個

 演算用LSIはグレーのセラミックパッケージに金メッキの足が付いたカスタム品で製造メーカーは不明。チップ製造が1971年の後半であることから、GS-88は1972年初頭に発売されたものと思われる。基板上には「8358」、「EDC-801」、「PCB-1B」の捺印がある。なお、基板はベークライト製だ。

 蛍光表示管表示基板上には、鉄製マウントフレームで被われた9本の表示管と、電源関係部品、整流素子(SH119)、およびNEC製IC、μPD124C(20Pin DIP)が搭載されている。ロジック基板、表示基板、キーボード基板は、それぞれコネクタにより接続される。またロジック基板と表示基板とは、アクリルフレームで積層状に搭載される。メインとなる演算LSIは4個と多いが、表示管ドライブ回路はコンパクトにまとめられており、かなり整理された設計になっている。1971年発売のPRECISA M-12では、メインLSIとしてMOSTEK社のMK-6010が使用されていたが、本機はそれを4個のLSIに置き換えたとうな構成となっている。電源トランスはYOUTH ELECTRIC CO., LTD製のもの。シリアル番号はアクリルフレーム横にシールで貼付されており、8241となっていた。

写真10.SANWA PRECISA GS-88 本体内部


写真11.ロジック基板と蛍光表示管表示ブロック


写真12.ロジック基板と蛍光表示管表示ブロックの側面
カードエッジ式に2枚の基板が積層されている。


写真13.ロジック基板のアップ


写真14.演算処理用LSIのアップ
一見セラミックタイプのパッケージに見えるが、グレーのプラスチックパッケージとなっている。メーカー名は不詳。1971年後半の製品。


写真15.蛍光表示管表示ブロックと電源部分のアップ


写真16.蛍光表示管表示ブロック
7セグタイプの桁別ニキシー管が、全部で8本、記号表示専用の管が1本使用されている。




< Menu Page



Copyright (C) Studio Pooh & Catty
2002 - 2008