SHARP ELSI-160 (1972年) |
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シャープ製造の8桁デスクトップ電卓、ELSI-160。70年代スペースエイジデザインの傑作であったCOMPET CS-221を一回り小型化した製品で、外形デザインはCS-221と非常に良くにている。CS-221よりも横幅が縮小されたおかげで、デザイン的にタイトにまとまっていると言える。モデル名称はEL-160。製造は1972年頃となっている。消費電力は7W。シリアル番号は1028363となっていた。 本体外寸は29.5×17.5×9.0cm。全面パネルは中央に向かってゆるやかに傾斜しており、表示窓の奥に緑色のパネルに覆われた8本のニキシー管が見える。キーボードは一般的なシャープ電卓に用いられているもので、コクコクとした感触のもの。ストロークは十分に深く、非常に押しやすい。×と÷のキーが共通となっているところが特徴的である。 電源はAC100Vのみでコードは取り外しが可能なタイプ。電源コネクタは3つ穴の専用のものとなっている。表示はシャープ特有の独特なフォントを持つ蛍光表示管。各桁ごとに1本使用されている。表示管の全面にはメッシュが配されている。
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写真3.SHARP ELSI-160 本体正面 |
写真4.SHARP ELSI-160 本体側面 |
写真5.SHARP ELSI-160 本体背面 |
写真6.SHARP ELSI-160 本体裏面 |
写真7.SHARP ELSI-160 本体裏面銘板のアップ |
写真8.SHARP ELSI-160 本体正面に付いているロゴのアップ |
写真8.SHARP ELSI-160 キーボードのアップ |
内部は電源ブロックと蛍光表示管表示ブロック、ロジック基板およびキーボードブロックから構成されている。メインとなるLSIは、シャープ製品ではお馴染みのロックウエル社製のもの。セラミックパッケージのLSIが4個使用されており、型番はそれぞれ以下のようになっている。
AU2271C-7108 LSIは42Pinパッケージでいずれも1971年前後の製品。上面に丸い蓋が付いた古風なパッケージを搭載している。この4個のLSIは、QT-8Dにも搭載されていたMOS-LSIで、シャープがロックウエル社へ製造を依頼した有名なPチャンネルMOS-LSI。それぞれの用途は「入力」「演算」「記憶」「表示」となっており、これら4個のLSIの消費電力は総計で2mAであったそうだ。デバイスはこれら4個のLSIの他に、CG1121と捺印されたメタルキャン タイプのICが1個搭載されている。 蛍光表示管は表示8桁+記号1桁の全9本構成。表示基板上に直接足を半田付けしており、9本の管はまとめて鉄のフレームに固定されている。ドライバ用のトランジスタはモールド状の素子3個で構成されており、ディスクリート部品は少ない。数字のフォントはシャープ特有のもので緑色発光。 キーボードは鉄製の専用フレームに搭載されており、ロジック基板とは手作業で引き回されたケーブルで接続される。キーは磁力リレーを用いたタイプで、SHARP製電卓に共通したしっかりとした造りになっている。
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写真10.SHARP ELSI-160 本体内部 |
写真11.本体内部側面 ロジック基板の一部にキーボードユニットが被さる形で配置される |
写真12.ロジック基板の全景 ロックウエル社へ製造を依頼した有名なPチャンネルMOS-LSIが4つ、搭載される。それぞれの用途は「入力」「演算」「記憶」「表示」。 |
写真13.ロックウェル社製MOS-LSI |
写真14.ロックウェル社製MOS-LSIのアップ AU2771Cと記載されたLSI。1971年3週の製造。セラミックパッケージに丸いメタルキャップが付く古風な製品。 |
写真15.蛍光表示管モジュールのアップ 桁別のオリジナル7セグタイプ蛍光表示管を採用している。フォントはSHARP特有の奇妙な形のもの。一番右側の桁は記号桁。9本の蛍光表示管はメタルフレームで固定される。 |
写真16.蛍光表示管モジュールの裏側のアップ 蛍光表示管にはISEDEN製のitron DG12Bという製品が搭載される |
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