無電テレビ工業 ELETAC8 (1972年) |
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無電テレビ工業株式会社(ムデン)製造の8桁電卓、ELETAC8。無電
テレビ工業という名称はあまり聞き覚えが無いが、本体外観の雰囲気は松下通信工業製電卓「Panac」を彷彿とさせるものがあり、おそらくはOEM製品であったと思われる。緑色表示の桁別蛍光表示管を用いた8桁電卓で、四則演算機能のみのシンプルなもの。キートップの形状がPanacシリーズと同じ楕円形を採用している。小数点制御はF,0,2,4をレバーで切り替えることが可能。AC100V専用でACコードは取り外しできない。外寸は19×18×7cm。本体のシリアル番号は223382。消費電力は2.5Wとなっている。本体正面には「MUDEN」のロゴマークが大きく入ってい
る。本体の製造年月は1972年。
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写真3.ELETAC8 本体正面 |
写真4.ELETAC8 本体側面 |
写真5.ELETAC8 本体背面 |
写真6.ELETAC8 本体裏面 |
写真7.ELETAC8 本体裏面銘板のアップ |
写真8.ELETAC8 本体正面に付いているロゴのアップ |
本体内部はロジック基板とキーボード基板の2つから構成されている。ロジック基板上には、電源トランス、蛍光表示管、演算用LSIが搭載されている。メインとなる演算LSIは、TI社製TMS0101ANC。TI社初期のワンチップ電卓専用LSIとして有名である。28PINのプラスチックDIPパッケージで、1972年37週製造となっていた。 蛍光表示管はロジック基板上に直接半田付けされており、記号表示桁も含め全9桁構成。蛍光表示管ドライブ用回路としては、三菱製2SC711、2SA628がそれぞれ18本ずつ使用されている。演算用LSIがワンチップにまとまっているため、内部構成は驚くほど簡単に出来ている。 電源回路は電源トランスと5個の大きな電解コンデンサ以外、目立った部品は無い簡単なものだ。ロジック基板とキーボード基板とは、1本1本手で半田付けされたコードで接続されている。基板はベークライト製。「ムデン」のシルク印刷が基板上にあり、ロジック設計、製造は同社オリジナルのようである。LSIにTI社製品を使用しているため、デバイス数の削減に貢献している。 同時代の国産LSIを使用した製品では、3〜5個程度のLSIを搭載していた。TI社製品採用によるコスト削減効果は大きかったものと思われる。なお、本製品のデバイス/回路構成は、1972年製造のPanac JE−800とほぼ同じものとなっている。Panac JE−800も、メインLSIにTI社製TMS0101ANCを採用していたので、当然と言えば当然である。
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写真9.ELETAC8 本体内部 |
写真10.メインロジック基板のアップ |
写真11.演算用LSI。TI社製TMS0101ANC |
写真12.ロジック基板上にシルク印刷された「ムデン」の文字 |
写真13.蛍光表示管表示ブロック 7セグタイプの桁別蛍光表示管が9本並ぶ。左側は記号表示用。 |
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