■■■ CITIZEN TYPE 811L (1972年) ■■■


写真1:CITIZEN TYPE 811L 本体外観


写真2a:CITIZEN TYPE 811L 蛍光表示管表示


写真2b:電源投入直後の蛍光表示管表示


■CITIZEN TYPE 811L                
                                   
 シチズン株式会社が製造した8桁のデスクトップタイプ電卓。事務用の製品
らしく、機能的で嫌味の無いデザインとなっている。丸いキートップがレトロ
な雰囲気を出している。表示には7セグタイプの青色蛍光表示管8本を使用。
この蛍光表示管は、各桁ごとに分離しており、いわゆるモジュール構成にはな
っていない旧式のもの。電源はAC100Vのみ。電源ケーブルは分離式。 

 本体外寸は24×18×6cm。キーボードはクリック感は無いものの、十
分なストロークを有しており、押しやすい。小数点制御は、ノーマル、小数点
以下切捨て、小数点4桁目を四捨五入の3段階に設定が可能である。なお、マ
イナス表示とオーバーフロー表示は、赤色のLEDで行う。        
写真3:CITIZEN TYPE 811L 本体正面


写真4:CITIZEN TYPE 811L 本体側面


写真5:CITIZEN TYPE 811L 本体背面


写真6:CITIZEN TYPE 811L 本体裏面
                                   
 この電卓は、電源ONで、一番左側の桁に0が表示されるタイプである。筐
体は、グレーと白のツートンカラーで、極めて実用的なデザイン。おそらく、
どこかのメーカーのOEM製品と思われるが詳細は不明である。本体裏面の銘
版には、下記の表記がある。                      

 CITIZEN 〒TIE                      
 ELECTRONIC CALCULATOR             
 PAT.PEND.                         
 TYPE 811L                         
 VOLTS AC100V FREQ.50・60Hz         
 WATTS 5W                          
 No.81775                          
 CITIZEN BUSINESS MACHINES INC.    

写真7:本体背面にある銘版のアップ

写真8:本体上面にある製品ロゴ2種
                                   
 本体内部は、ロジック基板、キーボード基板、蛍光表示管基板、電源部の4
つの部分から構成されている。キーボード基板とロジック基板とは、コネクタ
で接続される。蛍光表示管基板はロジック基板上にマウントされる形で実装さ
れている。                              

 メインとなる電卓専用LSIチップはOMRON捺印の2個のLSI。共に
日立製の電卓チップとなっている。28PinプラスチックDIPパッケージ
で、型番は下記の通り。                        

 HD3538                            
 HD3539                            

 ほぼ同時代に発売されたと思われるOMRONのTYPE800Kには、 
3個の電卓専用LSI(32104〜32106)が使用されていたことを考
えると、集積度が上がっている。メインとなる2つのLSIを囲むように配置
された東芝製TM4352(4個使用)は、おそらくはドライバ用ICと思わ
れる。16Pin プラスチックDIPパッケージで、4個使用される。  
写真9:内部構造外観


写真10:ロジック基板とキーボード基板


写真11:蛍光表示管表示基板とロジック基板


写真12:電卓専用LSI「HD3539」のアップ
                                   
 表示は8本のミニチュアタイプの蛍光表示管と、2個のLED。蛍光表示管
は各桁が分離されたもので、チューブの中に7セグで表示されるタイプ。2個
のLEDはオーバーフローとマイナス表示用となっている。        

 この電卓には製造年を示す表示は無いが、ロジック基板上に       
 72Z 001848 N                      
との記載があったので、1972年頃の製品と思われる。OMRONの800
Kと比較しても、使用されるLSIや集積度がほぼ等しく、同時代の製品を思
わせる造りとなっている。各基板はベークライト製。ロジック基板は中央に2
個のLSIを縦に並べその周辺にドライバ用IC4個を配置した整然とした構
成を取っており、製造コストを重視した回路設計を伺わせる。しかし、ニキシ
ー管表示部ついては、各桁ごとに分離されたチューブタイプのものを搭載して
いるため、1本1本手作業で基板上にハンダ付けせざるを得ず、アセンブリに
はかなりの手間がかかっている。                    


写真13:キーボード基板裏面


写真14:蛍光表示管表示部分のアップ


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