■Canon Canola L811 キャノン販売株式会社の電卓「CANOLA L811」である。 製造は1973年8月。8桁のオレンジ発光FIP表示を持つ電卓で、既出の L100Aの廉価版といった趣がある。ただし、機能的には幾分拡張されてい るところもあり、L100Aには搭載されていなかった小数点制御機能が、 L811には備わっている。本体上面パネルのレバーにより、浮動小数点、 2、0桁の各設定が可能だ。 本体外寸は24×19×7cm。L100Aよりも一回り大きな筐体を採用 している。デザインはキャノンの電卓らしく、事務的で機能的にまとまったも の。飽きのこないデザインだ。キーボードはL100A同様、四角いキャラメ ルのようなキートップを持つが、クリック感は若干安っぽくなっている。電源 コードは分離できないタイプ。本体内部に電源トランスを内蔵しているので、 持った感じはかなり重たい。 定格は2.5W。シリアル番号は207122となっていた。例によって保 証書が本体裏面に貼付される。
本体内部構造は、ほぼシングルチップ化された構成になっているため、非常 にすっきりとしている。メインとなるLSIは日立製HD3553で28Pi nDIPパッケージのもの。8桁電卓ということもあり、演算用LSIは1個 となっている。ドライバICは6295×1個、6249×1個、5403× 1個の構成。その他、HD3283PとHD3233Pが各1個ずつ使用され ている。ベースとなる基板はベークライト製。
FIPはオレンジ発光の8桁タイプで、オーバーフローとマイナス記号は専 用桁に表示される。FIPはJRC製でモジュールとなっており、コネクタを 介して基板に接続されている。キーボードは磁石を使用したリレースイッチタ イプで、L100Aと同じ構造を採用。接点不良、チャタリングは皆無であっ た。キーボード基板裏面には、L100Aと同様、ガラス管に格納されたスイ ッチとキーの裏側に取り付けられた磁石がむき出しで見え、構造が良く把握で きる。キーボード基板上には昭和48年8月21日の日付けが捺印される。 また、本体内部には下記のシールが貼付されていた。 ABS 48.5.7 中央・福島