■■■ Casio AS−B (1970年11月)■■■

写真1:Casio AS-B 本体外観


写真2:Casio AS−B 本体背面
■Casio AS−B                       
                                   
カシオ計算機は、電子ソロバンAS−Aを発売した翌年、改良型であるAS−
Bを発売した。この改良型では、後継機種として当然のことではあるが部品点
数の削減と若干の機能強化、コスト削減が図られている。また、AS−Aの特
徴ともなっていた本体上面の木目調パネルを廃し、普通の金属ケースを採用し
たため、外観はより一般的となっている。                

写真1は、AS−Bの正面。独特の横長プロポーションはそのまま踏襲されて
はいるものの、AS−Aと比較して厚さが2cm程度薄くなっている。型番は
AS−Aではエンブレムが付いていたが、AS−Bでは印刷になっている等、
細かいコスト削減の跡が見受けられる。もちろん、カシオのロゴは旧ロゴで、
上面パネルには「ELECTRONIC CALUCLATOR MODEL
AS−B」の表記がある。AS−Bでは、新たに「TOTAL」と「CLEA
R」キーが増設された。横長のケースとキー配置は、その後登場する「答え一
発!カシオミニ」へと引き継がれることになる。             

写真2は、AS−Aの背面。右側に位置する電源コネクタは、AS−Aと同様
端子が3本ある特殊仕様コネクタとなっているが、中央端子はFGであるため
左右両端の端子に100Vを印加すれば動作させることができる。     
写真3:Casio AS-B 本体裏面


写真4:Casio AS-B 本体裏面銘版アップ


                                   
写真3は、AS−Bの裏面を撮影したもの。裏面の構造は、AS−Aとほとん
ど変わらない。                            

写真4は、本体裏面に添付されている銘版のアップ。CASIOの旧ロゴマー
クがついており、シリアル番号は106369、品質管理番号はQ3173と
なっていた。なお、AS−Bの本体寸法は、幅33cm×奥行13cm×高さ
8cm程度である。                          
写真5:Casio AS-B のニキシー管表示


写真6:Casio AS-B の内部構造


写真7:Casio AS-B ニキシー管ドライバ部分のアップ
                                   
写真5は、AS−Bの12桁ニキシー管表示のアップ。発売後31年が経過し
ているが、ニキシー管はすべて正常に点灯する。オレンジ色の独特の放電光が
なんともレトロで暖かい。表示部分の下には、3桁ごとの区切りを示すための
ガイドが付いており、任意の位置に置くことができる。          

写真6は、AS−B本体内部。AS−Aと比較すれば部品点数の減り、かなり
整理された感じを受けるが、まだ電卓としては異様に部品が多く感じられる。
基板構成はAS−Aと同様、サンドイッチ状に2枚重ねて格納されており、こ
こに写っている基板はその上部のみである。               

写真7は、ニキシー管ドライバ部分のアップ。AS−Aと最も異なるところが
この部分であり、専用ICを使用することで、多数のトランジスタで構成され
ていたドライバ部分の部品点数を大幅に削減し、コスト低減と信頼性の向上を
図っている。筆者が所有するAS−Aは、おそらくニキシー管ドライバの不良
が原因で、ニキシー管が点灯しない。多くのトランジスタで構成されていたド
ライバ回路は、当然ながら故障の可能性が高かったのであろう。      
AS−Bでは、ニキシー管のドライバとして東芝製T4097が3個使用され
ている。これは想像ではあるが、おそらくこの石1個で4桁のニキシー管を制
御していたものと思われる。また、ニキシー管のマウントにも改良の跡が見受
けられる。AS−Aではニキシー管を剥き出しで並べていたのだが、AS−B
では専用のフレームで固定する構造となっている。            
写真8:Casio AS−B ロジック部分のアップ


写真9:Casio AS-B キーボード部分のアップ


写真10:Casio AS-B のニキシー管表示
                                   
写真8は、AS−Bのロジック部分のアップ。この部分はASーAとほとんど
変わっていない。下記のICが搭載されていた。             

 NEC : μPD116C、μPD101C             
 日立  : HD3103P、HD3106              
 東芝  : TM4351P、T1191               

写真9はAS−Bのキーボード部分のアップ。キーボードメカは、AS−Aと
同様リレースイッチの磁力操作で行っているため、信頼性と寿命は極めて高そ
うだ。しかし同時にコスト的にもかなり高く付いたものと思われる。キーを押
し下げた時に発する「カチッ」っというメカニカルな音も、AS−Aと同じで
ある。この音が精緻な感じを出しており、なかなか気に入っている。    

写真10は、AS−Bのニキシー管表示。0〜9までの数字を表示させると、
各数字が出っ張ったり引っ込んだりしているのがわかる。1つのチューブの中
に「0」から「9」までの数字の形をした電極を重ねて封入してあるため、表
示する際に数値によって奥行きに変化が生じているのだ。このあたりもなかな
か味わい深いものがある。                       

< Menu Page