■Casio Model AS−8E AS−8Eはカシオの8桁表示デスクトップタイプ電卓、ASシリーズの一つ である。ASシリーズはAタイプから存在しているので、少なくとも5種類以 上がリリースされているものと思われる。AS−8Eは、基本的な形状は従来 のASシリーズと同じであるが、筐体はアイボリーホワイトとなっているので 全く別の電卓のような感じを受ける。数字表示周辺部分はクロムメッキが施さ れており、この部分は従来シリーズと同様だ。表示桁数は8桁。メモリ機能は 搭載されていない。このAS−8Eの正確な発売時期は不明であるが、基板の 製造年の表示から推測すると、1971年〜1972年頃の製品であると思わ れる。製品前面に記載されたカシオのロゴは、もちろん旧ロゴである。
AS−8Eは、全体がアイボリーホワイトでキーボード面がダークグリーン、 表示部周辺はクロムメッキと、はっきり言って変な配色となっている。お世辞 にも趣味の良い色使いとは言えない。それどころか、従来の黒と銀の配色でシ ックにまとめられた製品と比較すると、随分安っぽく見えてしまう。コスト削 減のためか、またはマンネリ化を脱するためかは判断しかねるが、個人的には かえって逆効果ではないかといった感じすら受ける。反面怪しい感じはなかな かのものだ。 本体裏面の銘版に記載された本製品のシリアル番号は627457。Q番号は Q108044となっている。本体はAC電源のみで駆動し、バッテリー駆動 には対応していない。電源コネクタ端子は、他のカシオの電卓と同様特殊仕様 となっている。大きさは奥行き21.5cm×幅14cm×高さ6cmと、従 来のASシリーズとほぼ同等である。
AS−8Eもかなり集積化が進んでおり、内部に使用されている部品はLSI 1個+IC4個+トランジスタ4個と、非常にシンプルだ。メインとなるLS Iは、日立製HD3272で、セラミックパッケージ製品。使用されている主 なデバイスは下記の通り。 ・日立製:HD3272 ・日立製:HD3113P×2個 ・東芝製:TM4352P×2個 これを見てもわかるように、ほとんどの機能はメインとなるLSI1個の中に 集積されている。基板にはガラスエポキシを採用しており、表面には1080 44の捺印があった。
表示部分には、ブルー表示のニキシー管を使用している。ニキシー管は各桁個 別のチューブを使用しており、基板から直にハンダ付けされている。製造年代 がそれほど古くないため、いわゆるネオン放電のタイプでは無く、7セグメン ト方式の後期型ニキシー管を用いている。表示桁数は8+1桁の9桁構成。数 字表示は8桁で、最上位桁はエラー表示とマイナス表示専用となっている。な お、ゼロは7セグメントの下半分に表示する、いわゆる「下付きのゼロ」タイ プである。 キーボードのメカ部分は従来成製品と同様磁力によるリレータイプを採用して いる。キートップのプラスチックが若干軽くなったため、押した感じは少し軽 く感じられる。微妙なところでコストダウンが図られているようである。本製 品は製造後30年近く経過しているにもかかわらずチャタリングは発生してい なかったが、ホコリによりキーの戻りが若干渋くなっていた。