IBM DOS Ver1.10およびVer2.10のリリース当時のパッケージ。
Ver 1.10は1982年5月、Ver 2.10は1983年10月にリリースされた。

■退廃的互換機趣味(其之三十六) (2014/07/19)
 【IBM DOS Ver1.10、Ver2.10】

 言わずと知れた初期のMS-DOSである。

 IBM DOS Ver1.10は、1982年5月にリリースされた。元々のVer 1.00は、IBM The PCの出荷と当時期の1981年8月にリリースされており、これはそのバージョンアップ版である。Ver 1.00は160KBの5.25インチフロッピーディスク(1D)のみをサポートしていたが、Ver 1.10になり360KB 5.25インチフロッピーディスク(2D)も加わった。今とはっては信じられないが、このバージョンのMS-DOSでは階層構造という概念が無かった。即ち、ディレクトリが作れない。つまり「mkdir」コマンドが無い!さらに、オペレーションはFDベースのみだったので、「fdisk」コマンドも、当然無い。さらにさらに、「config.sys」も無かったので、デバイスドライバの追加もできなかった。こんなDOSで一体何しようってんだよ・・・なお、Ver 1.00は、アセンブリ言語でたった4,000行のコードであったと言う。

 IBM DOS Ver2.10は、1983年10月にリリースされる。前バージョンであるVer 2.00のリリースは1983年3月であった。ここに来てようやく、ディレクトリ構造の導入、CONFIG.SYSによるデバイスドライバの追加といった、DOSの基本機能が搭載されることになる。また、HDDもサポートされ、OSをHDDからブートすることが可能となった。こうした機能拡張もあり、Ver 2.00のソースは、20,000行に膨らんだ。

 どちらのDOSも、5.25インチのフロッピーディスク、もといディスケットからのブートが基本となる。今時、5.25インチのフロッピードライブを搭載しているPCなんてモノは絶滅しているので、普通の家庭ではブートさせることすら出来ない。幸い、というか不幸にして、筆者宅には未だに5.25インチのFDでブートできる環境がある。以前、本コラム「IBM PC/ATにこだわる! <その1> (2005/11/05)」で取り上げたマシンである。最も、マシン内部はごっそり入れ替えており、、マザーボードにはZIDA社のBaby-AT、TX-810EUが搭載されている。

 参考までに、IBM DOS Ver 1.10をTualatinコアのCeleron 1.3GHzのマシンでブートさせた動画を貼っておく。起動したのかどうなのかも判らないほどの高速ブートである。まあ、当然だわな・・・



IBM DOS Ver1.10およびVer2.10のリリース当時のパッケージ。

IBM DOS Ver1.10のパッケージ。
グラフィックライブラリが添付されてくる。

IBM DOS Ver2.10のパッケージ。

IBM DOS Ver2.10のパッケージ内部。
5.25インチのディスケット2枚で構成される。

IBM DOS Ver2.10のマニュアル。
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IBM DOS Ver1.10のシステムディスケットの内容。
PC-DOS J5.00/Vを起動させ、Ver 1.10の起動ディスクの内容をファイラーソフト「FD」を用いて見たところ。「COMMAND.COM」のタイムスタンプは1982年5月7日付となっている。確かに「CONFIG.SYS」や「FDISK」といったコマンドが無い。
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IBM DOS Ver2.10の起動画面。
DOS関連コマンドは、「DOS」ディレクトリにまとめて格納されるようになった。「AUTOEXEC.BAT」もデフォルトで生成される。「COMMAND.COM」のタイムスタンプは1983年10月20日。

IBM DOS Ver2.10の起動画面。
「DOS」ディレクトリ内部に格納されたコマンド類。HDDサポートの追加に従い、「FDISK」コマンドも搭載された。

IBM DOS Ver2.10のFDISK画面。
このバージョンでようやく、HDDにDOSをインストールできるようになった。





マザーボードとしてZIDA社のBaby-ATフォームファクタの「TX-810EU」を、またCPUとしてTualatinコアのCeleron 1.3GHzを搭載した古代のマシンで、IBM DOS V1.10を起動させたところ。(動画)
マシンの電源を投入してからBIOSチェックを行うが、これが結構長く感じられる。肝心のOSの起動は、まさに一瞬。そりゃ、そうだわな・・・




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