呼吸機能検査室は、がん治療センター内部にある。

■闘病日記 其の三十二【肺検査と心電図】 (2014/07/09)

 昨日の検診で肺癌手術を行う方針になったため、さっそく肺と心臓の基礎検査を行うため再度病院を訪問する。

 肺の手術はタイヘン体力を使う。片側の肺の癌を摘出している時には、もう片方の肺だけで呼吸をしなくてはならない。当たり前のコトである。それに応じて、心臓にも負荷がかかる。今日の検査の主な目的は、現在の私の肺のスペックを測定することと、負荷がかかった場合の心電図を測定することだ。ちゃんと心電図を測定しておかないと、手術中にいつの間にか「死んでんぞー!」となってしまう可能性があり、文字通りシャレにならない。

 先ずは呼吸機能検査室へ行き、肺の測定を実施する。今回登場した検査技師の方は、かなりお歳を召された熟練女性医師だった。しかし、なぜか異様にテンションが高い。小柄なのだが、元気が余りすぎて周囲にまき散らしているかのようだ。

 余談であるが、前回の大腸癌手術の際に検査入院した時のMRIの検査技師も、ちょっと変わっていた。まあ、たまたまだと思うのだが、私はよくよく「変」な検査技師に当たるようである。

 検査を始めるに当たり、最初の質問は「今までに喫煙したことは有りますか?」だった。私は「ありません。」と回答した。すると先生は「今までに一度も無いのですか?」と重ねて尋ねる。「ハイ、一回もありませんですだ。」と回答すると、かなり感動したようで「スバラシイ!」と叫んだ。そんなに珍しいのかねぇ。。。

 それはともかく、この検査技師先生は、今までに肺検査を幾度となく行ってきたためであろう、動きに全く無駄が無く極めてテキパキとしており、検査の説明もまるでテンプレートを読み上げるが如く流暢であった。しかし、一旦検査が始まると、君子は豹変する。

 肺検査を行った方ならお判りだと思うが、肺活量や肺拡散能力の測定でかなり激しく吸いこんだり吐いたりする必要がある。それはそれは疲れる作業なのだが、自らの肺の限界値を測定するのだから、致し方ない。先ず最初は、肺活量の測定だ。これだけでも、2回ダメ出しをくらう。検査技師先生は、私の隣に立ち、オーバージェスチャーでこれでもか!というくらい息を吸い込む仕種をし、さらにまたこれでもか!と思うくらい息を吐き出す仕種をする。指示を出す声も一段と高く、かつ大きくなる。あの小柄な体で、よくもあれだけの大声が出せるものだと感心してしまうのだ。

 しかし、これはまだほんの前座であり、本命の測定は肺拡散能力検査だ。私は必死になって指示された通りにやっているのだが、彼女は結果に満足しない。「肺活量検査でこれだけの数値が出ているんだから、もっと頑張れるハズです!」とキッパリ宣言し、やり直しをさせられる。くどいようだが、私も必死になってやっているのだ。でも「まだまだ〜!」とか、「こんなモンじゃない!!」とかで、なかなか許してもらえないのである。思わずスタンリー・キューブリックの戦争映画「フルメタル・ジャケット」でブートキャンプの新兵教育係として出演した

 ハートマン軍曹

 を思い出したね。。。。

 このようなワケで、たかだか肺機能の測定だけで充分疲れてしまった。因みに、この病院で導入している呼吸機能検査機器は、チェスト株式会社製造の「CHESTAC-8800」という装置であった。筆者は、肺検査装置の専門家では無いが、実に色々なことを測定することが可能みたいだ。

 続いて、心電図の測定を実施する。

 最初は安静時の心電図測定で、これはただダラ〜ンと寝ているだけで良いからラクチンである。問題はその次で、負荷試験だ。測定室内には凸状のステップが用意されており、電子音に応じて昇降を繰り返す。思っていたよりもハイペースだ。これを3分間続けた後で、すぐに心電図を測定する。

 私は普段から良く歩くように心掛けている。毎日、最低でも5,000歩は歩く。しかし、この検査は結構堪えた。いや別に昇降で息切れがするということは無かったのだが、何回も向きを変えてステップを往復したので、目が回ってしまったのだよ・・・

 以上で今日の検査は終了である。手術の負荷に耐える肺と心臓であるかは、来週の外来受診で判明する。おそらくまあ大丈夫でしょう。そこまで来れば、後は手術入院の日を決めるだけである。



心電図は生理検査室で行う。

今回の呼吸器検査で使用したチェスト株式会社製造の呼吸機能検査装置、CHESTAC-8800。各機能を検査する前には、キャリブレーションを行うため、90秒ほど待たされる。

オマケ。フルメタルジャケットに出てくるハートマン軍曹!!!


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