■闘病日記 其の二十四【化学療法開始】 (2013/12/07)

 入院中に概要説明を受けていた化学療法を開始するため、外科外来を訪れる。退院後の体調回復は順調で、調子も良い。化学療法名は「XELOX」で、以前にも書いた通り、点滴によるエルプラット(オキサリプラチン)の注入後、ゼローダ(カペシタビン)という抗がん剤を、2週間続けて朝夕2回飲み、その後1週間休薬して、1クールとするものだ。

 オキサリプラチン(oxaliplatin, L-OHP)は、その名前の通りプラチナを配合した白金製剤で、名古屋市立大学薬学部により合成と抗ガン性が発見された。日本ではエルプラット(ELPLAT)の商品名で、ヤクルト本社が製造販売している。点滴を受ける際には、既にオキサリプラチンが生理食塩水に溶解した状態で出てくるため、ヤクルト本社が製造販売しているとは気が付かなかった。因みに私は毎日ヤクルトを飲んでいます。

 カペシタビンは、フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤に類する抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)である。かなり大きな錠剤で、朝夕2回服用する。この系統の抗がん剤としては、今までフルオロウラシル(5-FU)が良く使われてきたようだ。カペシタビンは体内(特に腫瘍細胞内)で段階的にフルオロウラシル(5-FU)に変換させることで、5-FUが腫瘍細胞内へ選択的に高濃度・長時間にわたり供給されるよう改良されているのが特徴だそうだ。商品名はゼローダで中外製薬が製造・販売している。

 それぞれの骨格構造を、以下に貼っておく。(出展:Wiki)



オキサリプラチン(oxaliplatin, L-OHP)の骨格。確かにプラチナ(Pt)が真ん中にデンと鎮座している。しかし、このような分子構造を、どのように発見したのだろうか?化学の世界は、ワケわからん・・・

カペシタビンの骨格。これももう、何がなんだか・・・の世界。

 点滴を受ける前に、必ず採血を行う。これは、肝機能の状態と白血球数を調べるためだ。ゼローダ療法を行うと、副作用として骨髄抑制や白血球数の減少などがおこる。また、クスリは肝臓で分解された後、癌細胞を攻撃するよう作用するので、肝臓に負担がかかるためだ。

 ところで、最初は何も知らなかったこともあり、この点滴も大したことは無いだろうと思っていたのだが、結構タイヘンだった。処置室のベッドに寝かされた後、最初に吐き気止めの点滴を行う。これが20分程度。次に、例のオキサリプラチンの点滴を行うのだが、これに2時間かかる。自然落下タイプの点滴では無く、電動の輸液ポンプを使うので、正確に2時間かかる。その間、横になっていなくてはならず、退屈だ。

 さらに、オキサリプラチンの点滴には、血管痛という副作用も出る。点滴を入れている血管および腕が、ビリビリと痺れるように痛くなるのだ。感じとしては、30〜50Vくらいの電圧で感電しているかのようだ。この痛みは、冷えると強く感じるため、少しでも痛みが減少するように点滴中は腕を保温マットで温める。このようなワケで、体も自由に動かせない状態になる。

 点滴が終わると、さっそく副作用が出る。腕が痺れて痛いのだ。水で手を洗うと、さらに痺れが増大するので、温水を使わなくてはならない。痺れがひどいので、手も自由に動かない。カバンを開けたり財布を出したりするのが困難になるくらいだ。点滴後、2時間程度はかなり辛い痺れを味わうことになるが、その後少しずつではあるが軽減されていく。但し、この痺れが完全に取れるのは、1週間以上かかった。

 今日は、点滴を終えた後、2週間分のゼローダ錠剤を処方されて帰宅する。ゼローダ錠剤は、1回につき5錠も飲む。服用量は、体表面積にあわせて調整される。私の場合は5錠であったが、最大投与量は8錠だそうだ。上述したように、ゼローダの錠剤は大きいので、5錠も飲むのはかなり苦労する。

 先が思いやられる。

(つづく)

【余談】
上述した抗がん剤治療は、標準治療として医療機関で広く行われているものだ。言うまでも無く、治療内容を指示しているのは製薬会社だ。この後、抗がん剤治療を続けるにつれて、私の中では「ホントウにこんな治療で良いのだろうか?」という、強い疑問が出てきた。様々な文献やWEBを調べるにつれて、この疑念は強くなる一方だ。この件については、後日改めて記載したい。


緑色のシートが、抗がん剤のゼローダ。比較として、隣に催眠鎮静剤・抗不安剤として有名なソラナックスを置いた。比べてみると、ゼローダの巨大さが判る。これを毎回5錠飲めというのだ。この頃は、ゼローダ服用の副作用で、七転八倒するとは夢にも思っていなかった。





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