■闘病日記 其の十五 【手術日】 (2013/11/21)

 今日は、入院のメイン・イベントである手術の日だ。開始時刻は朝一番の9時。それまでは、準備で慌ただしかった。あ、そうそう。これから当分の間は、写真が無い。よって、テキストのみとなる。手術の模様は撮影できないし、終わった後は写真を撮影するどころでは無かったからねぇ。(痛くて、とてもそんな余裕は無かったよ。。。)

 意外なことに、手術日はけっこう落ち着いていた。というか、早く腹をかっさばいて、余計なモノを摘出してもらいたくて、たまらなかったのだ。恐いとか痛いとか、もしかしたら手術室から出てくる時には息をしてないかもしれないとか、そういった不安はひとつも無かった、検査入院から早2週間近くが経過しようとしている。いい加減、入院にも術前処方にも飽きた。やることやって、早く終わらせたい一心だったのだ。手術開始までの間に、昨日配布された手術着に着替え、オンコールを待つ。

 午前8時58分、車椅子で手術室に入る。この病院には3つの手術室があるが、そのうちの2号手術室へ通された。手術室に入る前に、頭部に防塵用の帽子を被せられる。その後、今日手術を行う際のメンバー紹介があったのだが、全員手術用の着衣に巨大なマスク、防塵帽子という出で立ちで、目しか出ていないものだかから、誰が誰だかサッパリ判らない。

 そう言えば、検査入院中に、隣りのベッドの患者が回診中の医者に言っていた。「手術室だと、全員同じ格好だから、誰が誰だか判らんよ。せめてマスクに名前でも書いておいたらどうだね?」。

 気持は判った。でもさ、手術中は患者は全身麻酔で寝てるんだし、執刀医は長年の経験からおそらくメンバー個人個人の見分けは付くだろうから、マスクに名前書いても、余り意味があるとは思えないんだけどな。

 手術室は思ったより広く、当然のことながら異常なほどの清潔感が漂う部屋だった。中央には、台座の上に仰々しく手術台が載っている。手術台は結構高い場所に設置されており、台座から手術台へは、2段分のステップを登る。部屋の中央に鎮座している手術台を見て、私は何となく、古代マヤ文明の生贄を行う台に似ているなと思った。縁起でもねぇ・・・なお、手術室内はかなり寒い。感染症防止のために、意図的に室温を下げているせいだ。

 手術台に上ってからの最初の作業は、硬膜外麻酔処置だった。脊椎の間から針を刺し、硬膜外カテーテルを固定する。手術台上で、海老のように背中を丸くして行う処方だ。脊椎への注射なので、かなり慎重に行われる。痛い場合には注射針の位置を調整しながら、少しずつ挿入する。なんか、こう、書いているだけで、当時を思いだして痛くなってきますな。。。。

 硬膜外麻酔処置が終了すると、次に点滴ラインから睡眠導入剤が注入される。この段階で意識がボンヤリとしてくるのだが、まだ完全には眠らない。視界がピンぼけの写真のようになってくる。頃合いを見計らい、ガスマスクで麻酔ガスを吸いこむ。2〜3回くらい深呼吸をして下さいという指示の後、あっという間に意識が無くなり、ブラックアウト状態になった。

それ以降のことは、麻酔が覚めるまで全く覚えていない・・・

(つづく)





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