Maker Faire Tokyoのメイン会場である日本科学未来館。バブリーな建築物である。

日本科学未来館の内部。どことなく東京国際フォーラムを感じさせる。

■Maker Faire Tokyo (2013/11/03)

 Maker Faire Tokyo 2013(MFT)へ行く。開催場所は、お台場にある日本科学未来館とタイム24ビルの2箇所。11/03、11/04の2日間のみの開催となる。この展示会は、前々から気にはなっていたのだが、見学するのは今回が初めてだ。

 日本科学未来館の常設展示は家族連れの休日スポットとなっており、チケット売場には、健全な親子が列を作って並んでいる。その一方で、一見して判る電子工作オタクが群がっている。MFTの見学者たちだ。モチロン、筆者もその一人というワケ。そう、これは電子工作オタクのサバトなのである。

 しかし、すごい混雑だった。11/03は正午開場なのだが、開場30分前にして、入り口に長蛇の列が出来ている。開場後も入場するだけで20分近くは並んだ。これだけでもう、疲れてしまう。この展示会は個人や中小企業が主役である。そのため、展示ブースに特別な造作も無く、テーブルに出品物を並べているだけだ。しかし、内容は大手メーカーが主催する展示会なんかよりもダントツに面白くてアヤシい。この雰囲気は好きだね。。。

 とにかく、説明員が詳しい、というか蘊蓄の固まりなのである。そりゃそうだ。全部自分一人で作ったものを出品しているのだから、微に入り細を穿って解説してくれる。商売っ気もほとんど無い、というか全然無い。ただ単に、自分の技術を見てもらいたい人たちが集まっているのだ。雰囲気的には、理系大学の学園祭に近いかな?

 というわけで、今日は久しぶりに脳に刺激を受けてきた。以下、個人的に興味を持った展示を、いくつか紹介する。



今回の展示会で一番見たかった出展品がコレ。株式会社技術少年出版が製作した8ビットコンピュータキット、Legacy8080。あの1975年製造の「Altair8800」や「IMSAI8080」の複刻版なのである。2013年の現代に突如出現したヴィンテージマイコン!!!

Legacy8080の内部。CPUはZilogのZ8S180(2、4、10MHz)を採用。メモリは512kbyte。Mbyteじゃないよ、kbyteだよ。OSはCP/M-80互換OSを搭載している。開発言語は、もちろんアセンブラ。部品は現代の物を使用しているので、基板は驚くほどコンパクトだ。

コンソールは、いわゆる「パチパチスイッチ」と呼ばれていたものを、そのまま忠実に復元している。16本のアドレススイッチと8本のデータスイッチを設定し、プログラムを1ステップずつ入力して行く方式だ。その昔、筆者もZ80を使って、パチパチスイッチマイコンを自作したことがあるけど、懐かしいったらないね!

筐体は19インチラックに組み込めるように設計されている。前面パネルには、多数の制御用スイッチが並ぶ。このスイッチの操作感が、また良いのだよ。その昔のDEC PDP-8やPDP-11を思い起こさせるね。


Legacy8080の動作情況。 (動画)
LEDがピコピコ点滅して、いかにも働いています、という感じが良い。昔のSFそのものだね。因みに、現在同社では発売に向け検討しているが、時期・価格等は未定とのことだった。是非売り出してもらいたいものである。

次のお目当ては、コレ。全部リレーで作ったというニキシー管時計。EET LABというところが出展していた。電源である12VはACアダプターで供給するものの、それ以外は全てリレー制御だけで実現している。実際に動作している所を見ると、「ジャッ!ジャッ!」という、規則正しいリレーの動作音がする。しかし、これだけ多数のリレーを、小さめのレンガくらいの大きさにまとめた力量はスゴイ。

こちらは、ダイバージェンスメーター機能付きのニキシー管時計だそうで、ちょっと大型の製品。これも動作はリレーのみで行っている。制作者が始めて作ったリレー式ニキシー管時計だそうで、迫力満点である。

使用しているリレー群。整然と並んだ姿が美しい。使用しているリレーの型番は、941H-2C-12D(12V小型リレー:接点容量:2A:2回路C接点)で、単価は100円程度。それを110個以上使用している。

リレー式卓上ニキシー管時計の説明書。
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リレー式ニキシー管時計の動作情況。 (動画)


リレー式ニキシー管時計の動作情況。 (動画)

今回の展示会で、ぶっ飛びだった展示物がコレ。何と!ニキシー管を作ってしまおう!というプロジェクトである。ニキシー管そのものは既に製造を中止しており、現在入手できるのは、在庫品のみだ。しかし、新規に作ってしまえば、将来入手できなくなるという心配が無い。というワケで発足したプロジェクトのようである。ニキシー管を使った時計は、良く見るが、ニキシー管そのものを作ってしまうというのは仰天だ。
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ニキシー管を作るということは、電極も作るということ。従って、数字のフォントや図形など、自由なデザインのニキシー管を作ることが可能となる。これは大きなメリットだね。但し、製造は容易では無いとのこと。一番問題なのが、真空度を上げる工夫だそうだ。

自作したニキシー管を用いた卓上時計のデモ。出展者曰く「製品として販売されていた管よりも、若干輝度が低い」とのことだが、そのような感じは受けなかった。良く出来ている。

今回の展示では、アナログ回帰とでに言うのだろうか、蛍光表示管やニキシー管といった、現在では見ることの無いデバイスを使った製品が多数出展されていた。これもその一つ。蛍光表示管を使用した時計。

ニキシー管を使用した時計。木製筐体使用で、暖かみのあるデザイン。

蛍光表示管を使用した7セグメント・ディスプレイ装置。時計として機能する。

小型のニキシー管時計。

いろいろなデザインのニキシー管を使用した時計の数々。

これぞアナログ回帰の原点!完全真空管使用のポータブルヘッドアンプ。この時代にこのような製品を作ることは、返って難しいと思う。


ピタゴラスイッチのようなおもちゃ。 (動画) こーゆーのは、見てると飽きないねぇ。。。


見学を終えてゆりかもめで新橋に出る。 (動画)
時間が早かったため、帰りは空いていた。お台場海浜公園から芝浦ふ頭までの間の車窓。環境ビデオとしてどうぞ。(音声トラックは無し)。



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