KODAK disc4000本体と、未使用未開封の専用フィルム。

■Kodak disc4000 (2013/10/06)

 銀塩写真からデジカメへ移行していた時期から、筆者はKodakのデジカメを使っていた。使ってきた機種の品番を並べてみると、

 DC20
 DC200
 DC260 Zoom
 DC240 Zoom
 DC4800 Zoom
 DC3800
 M532
 EasyShare Z990

 このような感じになる。

 DC20が発売されたのが1996年なので、Kodakのデジカメとは、もうかれこれ17年以上も付き合っていることになる。ここまでKodakのデジカメに拘るのは、フィルムメーカーでもあった同社の絵作りが良かったからだ。そりゃ、デジカメといえば日本メーカーの独壇場だ。数値的な性能は、圧倒的に国産品が高かった。しかし、Kodakのデジカメには、国産メーカーを絶対に寄せ付けない、強烈な個性があった。

 世に「コダック・ブルー」と言われる、深い青の発色は、特にスバラシイ。往年の銀塩写真の写りを、忠実にデジカメで再現している。さらに、後期の製品には、撮影時にフィルム効果モードと呼ばれる機能が追加する。これは、往年のコダック銀塩フィルムの発色、写りを、デジタル効果で再現するという、これまたマニアックを通り越したギミックで、コダカラー、エクタクローム、コダクローム、T-Max、Tri-Xが選択できた。今のデジカメ世代には、こうした名称を聞いても全くピンと来ないだろう・・・

 一番良く使ったモデルは、DC4800 Zoomだった。画素数はたかだか3.2Mピクセルと、現在の水準からすればオモチャのような仕様だが、撮影した写真の色は美しい。幸いなことに、本ホームページ「廃墟系」で、2003年前後に撮影した写真のほとんどが、このDC4800 Zoomで撮られている。このカメラに出逢って、ホントウに良かったと、今でも感謝しているくらいだ。

 さて、そんなKodak大好きな筆者だが、Kodakには銀塩カメラからデジカメに移行する直前に、黒歴史とも呼ばれるモデルが存在した。それが、ディスクカメラ(Disc Camera)である。

 disc4000は、1982年に発表されたディスクカメラだ。後に、disc6000という名称のモデルも発売されたが、基本的な構造は同じである。最大の特徴は、Kodak社が開発したディスクフィルムを使用すること。これは2インチのフロッピーディスクのような形状をしており、スリーブの中には円周に沿って、8.2×10.6mmのサイズのコマが15個配置されているという、極めて変態的なフィルムだった。

 フィルムは35mmはおろか、当時流行った110フィルムよりも小さいために画質が悪く、さらにISO設定が200固定であった。一時はKodak以外にも富士フイルムやコニカから発売されたが、1998年には製造が中止され、2001年には現像サービスも打ち切られる。その後、完全に忘れ去られた存在となってしまった。

 なぜ、このような珍奇な製品が出てきたのか、結構謎ではあるのだが、パトローネ式のフィルムだと詰めるのが面倒くさいし、カメラ本体を薄くできないという欠点を解消しようと思ったのだろう。その後、スリーブに収められた銀塩フィルムのコマは、フロッピーディスクとなり、メモリカードへと進化を遂げる。銀塩からデジカメへの過渡期を見据えた製品でもあったと言えよう。

 なお、筆者は残念ながら、ディスクカメラを実際に使ったことは無い。今からでも使ってみようと思っても、カンジンの現像サービスが打ち切られているので、どうにもしようがない。従って、どの程度の画質だったのかは、永遠の謎である。今、こうして某オクでフィルム込みで入手したのは、ただ単にコレクションするためである。

 合掌!

 (-人-)



disc4000本体とフィルムパッケージの裏面。本体裏面には、撮影枚数を表示する窓が開いている。

disc4000本体。レンズ下のレバーがカバー開閉と電源を兼ねている。disc4000では、フィルム回転用モーターとストロボの電源として、リチウム電池を内蔵していたが、交換は出来ない仕様となっていた。因みに、ここに掲載した製品は、まだ電池が生きており、シャッターを切るとモーターが回転した!

disc4000が実現したかったのが、本体を薄くすることだった。確かに、フィルム式カメラとしては、異様に薄い。

ディスクフィルムの入れ替えは簡単だ。本体レバーを引きあげると、背面カバーがガバっと開く。ここにディスクフィルムを入れるだけで良い。確かに、パトローネよりも手間がかからず便利である。

背面カバーを開けたところ。

カバー内部には、「USES DISC FILM」の刻印がある。

ディスクフィルムを搭載したところ。まるでフロッピーディスクのようだ。

未使用デッドストックされていたフィルムのパッケージを開けてみる。フィルム本体は袋に入っている。付属のエンベロープは、撮影後、現像所に出す時に使用する。

ディスクフィルム本体。
拡大

ディスクフィルムのパッケージ表面。前ユーザは、「カメラのオク」というショップで、500円で購入したみたいだ。15枚撮り。

ディスクフィルムのパッケージ裏面。使用期限は1991年05月となっている。2013年現在、22年前の日付だ。ISOは200のみ。

ディスクフィルムが入っている袋には、カメラ本体への搭載方法がイラストで掲載されている。

ディスクフィルムとエンベロープの表面。

ディスクフィルムとエンベロープの裏面。




<< Menu Page



Copyright (C) Studio Pooh & Catty
1996-2013