ナチを欺いた死体(中央公論社刊)


■ナチを欺いた死体(2011/12/01)

 この本は、新聞の書評欄で紹介されていたものだ。面白そうだから何気なく読んでみたが、最近読んだノンフィクションの中では出色の出来である。文句無しに面白い。事実は小説より奇なりを地で行く展開だ。内容は、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で実施された「ミンスミート作戦」を追ったもので、訳者のあとがきにもあるように「よほどのマニアでない限り、この作戦を知っているヒトはいないであろう」。浮浪者の死体をイギリスの高級将校に仕立て上げ、今後の作戦に関する偽の重要極秘通信文を持たせ、溺死体として敵前に漂着させ、ナチ情報部を攪乱するという、映画みたいなホントの話しである。

 作戦も奇想天外だが、実在した登場人物も個性豊かすぎて強烈だ。情報戦ということで、裏の裏をかくような欺瞞作戦が続々と登場するが、その手口も興味深い。架空の人物を創造するため、実に様々な証拠を、念には念を入れ、さもそれらしく捏造してゆく過程は、偏執狂的ですらある。圧巻は第15章の「検視報告」で、その臨場感は半端無い。実際には殺鼠剤を飲んで自殺している人間が、無事溺死であると検視されるかどうかの際どい場面を描いているが、ここでバレてしまえば計画はおシャカである。

 本書は、当時の写真を数多く掲載しており、資料的価値も高い。口絵には、実際に使用された死体の写真も載っているので、そのつもりで・・・www

 陰険な情報戦とスパイ小説並のディテールが好きな方にお奨めの一冊である。

スエズ運河を消せ(柏書房)

 ついでに、これも同じ書評で紹介されていた戦時モノ。マジックショーを本業とするマジシャンが、第二次大戦の北アフリカ戦線で、ドイツの戦車団相手にさまざまなトリックをしかけて混乱させる様子を描いたものである。ノンフィクションであるが、書き方は物語的だ。


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