「スプートニク」 表紙
奇書である。フィクションである。しかも、解説は"あの"「アラマタ」さんである!!!


スプートニク (2006/04/09)

 カルトだねぇ〜。こーゆーのを奇書って言うんだろうな、、、「スプートニク」は、旧ソ連の資料をベースに、いかにもありそうな物語に仕立て上げた「フィクション」である。著者は「スプートニク協会」+「ジョアン・フォンクベルタ」。本書最終ページに、小さな文字でちゃんと「本書は、解説を除き、すべてジョアン・フォンクベルタのフィクション作品です」と断り書きが記載されている。まさに、企画一本勝負というかナント言うか・・・
┐('〜`;)┌

 内容は、ソユーズ2号に搭乗した宇宙飛行士「イワン・イストチニコフ」なる大佐の、謎の失踪とその隠滅を、旧ソ連の宇宙開発の解説と共に記したものだ。公式には無人であるとされたソユーズ2号に、実は宇宙飛行士と犬一匹が乗っており、さらに搭乗者は宇宙飛行中に謎の失踪を遂げたこと、当局は、本件はもとよりイワン・イストチニコフ大佐の存在そのものをも隠滅させようとしたこと等々が、サザビーズのオークションで偶然入手した、旧ソ連の写真により、次第に明らかになって行くというストーリー展開だ。う〜ん、それらしい設定ではある・・・
( ̄〜 ̄)

 内容はそれなりに良く書かれてはいるものの、最後の方になると、馬脚を表してくる。特にラストのオチは、ちょっと頂けないね。細かいところでもツッコみ所はある。本書によると、1967年の年末にクレムリンでのブレジネフ暗殺未遂事件が発生し、その際負傷したソユーズ2号の正規クルーのバックアップとして、イワン・イストチニコフ大佐が任命され搭乗した、という設定になっているが、既出「KOSMOS」中に取り上げた「アポロとソユーズ」によれば、この事件は1969年1月に行われた「ソユーズ4号、5号帰還祝賀パレード」の中で起こっており、その時ソユーズ2号は、既に1968年10月に打ち上げられた後であった・・・等々。。。
まあ、とはいうものの、本書はフィクションとして、それなりに楽しめる。また、本書に掲載されている写真類は、一見の価値がある。どれも、旧ソ連の宇宙開発を記した貴重なものだ。特に、ソユーズロケット発射タワーの俯瞰写真など、なかなか見ることができない。筑摩書房刊、2600円。1999年5月25日発行。あまりにカルトな内容のためか、未だに初版。まだアマゾンで入手できる。虚構と現実の狭間を漂うことがお好きな方は、是非どうぞ!

ヽ(´ー`)ノ

Google Earthで見たバイコヌール宇宙基地
東経63.10、北緯45.59辺りに位置するバイコヌール宇宙基地を、Google Earthで表示する。


 因みに、Google Earthを使って、ソ連宇宙開発の中心地であった、バイコヌール宇宙基地を表示させて見た。写真中、「Y」の字型に枝分かれした道路が見えるが、その結節点部分に通信基地がある。結節点から少し上に行った所、中央の濃い緑の部分が、ソユーズロケットの発射場とのこと。画面左端上部がプロトンロケット発射場、右端上部がソユーズ、コスモス、ゾンド等の発射場になっているそうだ。カザフスタン共和国に位置するこの宇宙基地は、極めて広大。

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