インデックス・コミュニケーションズ刊「夜の物理学」表紙
タイトルからして怪しげな雰囲気であるが、内容はマジメなサイエンス・エッセイ。現代宇宙物理学の片鱗を易しく学ぶことができる好著。


■夜の物理学 (2005/10/08)

 タイトルからしていかにも怪しげではあるが、内容は極めてマジメな科学エッセイである。現代宇宙物理学を、軽妙洒脱な文章でサラっと、あくまでもサラっと書いたもので、基礎知識無しで楽しむことができる好著。なぜ「夜の」と付くのかがミソ。「夜の物理学」すなわち「ナイトサイエンス」という言葉は、筑波大学名誉教授の村上和雄先生と、ノーベル賞受賞で有名な江崎玲於奈先生の講演から採ったものなのだそうだ。その意味は、「緻密な論理的思考では無く、直感(思いつき)や霊感めいたものから閃きを受け、そこから研究を開始してゆくような物理学」となっている。まあ、一言でいうと、「ちょっと怪しげな理論」となるのだろうか?これに対して、厳密に論理的に研究されるものを「デイサイエンス」と呼ぶのだそうだ・・・
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 ナイトサイエンスの名の通り、本書では現代宇宙論の幾分ぶっ飛んだ考え方が、続々と登場する。インフレ宇宙論や多世界、赤ちゃん宇宙論などは、まだ聞いたこともあるが、ホーキングの虚数宇宙論になると、もう何が何だか・・・の世界に入ってくる。そして宇宙動物園説、即ちポアンカレの12面体宇宙論まで来ると、これはもうSFの世界だ。こうした事例を始めとして、超ひも理論やそれを用いたロケット推進方式、第五の力のハケーン、モノポール検出器やソーン型ワームホールタイムマシーン等々、実に楽しい考えが、次々に現れ、十分楽しめる。

 宇宙論学者のアンドレイ・リンデによれば、宇宙を創るのに必要なものは、10万分の1グラム程度の物質だけなのだそうだ。そして、現代宇宙論によれば、近い将来、マッドサイエンティストが自宅で「宇宙」を創世する、なんてことも、「十分に」起こりうるのだそうである。現在我々が居る宇宙も、こうやって誰かさんが作り上げた「ポアンカレ12面体」の一つなのだ、なんて考えは、さすがにぶっ飛び過ぎてるけど、大変楽しい発想だと思う。なぜ12面体でなくてはならんのか?は別としてね・・・

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