■Kodak Brownie Chiquita Camera (2005/07/24)
 吉祥寺北口に「パラレル・ハウス」というディープなリサイクルショップがある。筆者お気に入りのスポットで、堆積したガラクタの山を物色するのは、なかなか楽しい。そこで偶然ハケーンしたカメラが、この「Kodak Brownie Chiquita Camera」である。10×8×8cm程度のコロンとした立方体で、大変カワイイ。本体は茶色のベークライト製で、レトロな横線が入っている。未来世紀ブラジルかなんかに出てきそうなデザインで、インテリアとしても良い。1,300円程度と捨て値で売られていたので、購入してしまった。

 さて、この「Brownie Chiquita Camera」、どのようなものなのかを、さっそく「McKeown's Cameras 2001-2002」で調べてみた(因みにこの本は中古カメラ屋さん必携のカタログ集で、およそ今まで発売された銀塩カメラのほとんどが、中古市場流通価格付きで掲載されているという、それは恐ろしいオタク本である)。それに寄れば、このカメラはBrownie Bullet Cameraの別名版である。Bullet Cameraは、1957-64年にかけて発売されたもので、フィルムに127(ベスト判)を使用するタイプだ。Bullet Cameraの現在の取引価格は$5〜$15程度だそうだが、このChiquita Cameraは数量が少なかったためか$30〜$50と、高めで取引されている。残念ながら、今となっては127判というサイズのフィルムは入手困難で、非常に高価である。そこで、マニアの方たちは、120フィルムを幅46.7mmでカットし、暗箱内でスプールに巻き直して使用しているそうだ。因みに127フィルムは、Kodakが1912年に発売した「ベストポケットコダック」というカメラで使用されたため、通称ベスト判とも称されている。

 このカメラ、ファミリーユース専用のようで、シャッタースピードと絞りが固定となっている。フォーカスも固定なので、即ちファインダーを覗いてシャッターボタンを押すだけで良いというカンタン操作だ。年代物ということもあり、若干シャッターに粘りはあるものの、現在でもちゃんと動作している。F値等の記載が無いため詳細仕様は全く不明。単玉レンズを使用しているので、フィルム面が湾曲するようになっている。背面カバーは、カメラ両端にある金具を押し下げ、ロックを解除することにより取り外すことができる。視野角は、スナップショットを撮るのに適した設定だ。

 昔、筆者は子供の頃に、Fujipetという子供向けカメラを使用していたことがある。Fujipetは120判ブローニーフィルムを使用するものだったが、一応3段階程度の絞り設定とピント設定があったように思う。このカメラは、それ以上にシンプルな作りだ。写りがどのようなものなのか、興味深い。シャッターの粘りを修理し、127判フィルムを作って撮影することを、当面の目標に設定しよう!先は長そうだが・・・

ヽ(´ー`)ノ

Brownie Chiquita Camera 正面
レンズ周りにはF値の記載が全く無く、詳細仕様は不明。なお、レンズ周辺に「FABRICADA EN ROCHESTER, N.Y., POR EASTMAN KODAK COMPANY」と、スペイン語で記される。Data Baseに寄ると、このカメラ本体はスペインもしくはイギリスで製造されていたそうだ。


Brownie Chiquita Camera 背面
未来世紀ブラジルに出てきそうなデザインの背面。中央赤い窓がフィルムカウンター。一見、一般的な120ブローニーフィルム用に見えるが、127のベスト判を使用する。全体的にコロンとしたデザインがイイ!


Brownie Chiquita Camera の構造
カメラ本体はこのように中央からガバッと分割できる。実におおらかな設計である。


Brownie Chiquita Camera 内部
フィルム面が湾曲している点に注目。単玉レンズ採用。「BROWNIE HOLIDAY CAMERA」「TRADE MARK REG.U.S」「AND OAN. PATENT OFF USE KODAK 127 FILM」の刻印がある。


カメラカタログ「McKeown's Cameras 2001-2002」の表紙
中古カメラ屋必携の一冊。枕になるほど分厚い本。中古市場における標準的な価格も掲載されているので、値付けには便利である。


Brownie Chiquita Camera の記載
このようなファミリーユースのカメラも、ちゃんと掲載されていた。


Brownie Bullet Camera の記載
Chiquita Camera の元になったBullet Cameraの記述。こちらの方が流通量が多かったせいか、中古市場価格が安い。


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