■文京区元町公園 (2005/05/03)

 この公園は、JR中央線快速電車の車窓から良く見えるので、以前より気になっていたところだ。場所はお茶の水駅の手前、神田川を隔てたお茶の水坂の途中にある。元町公園という名称のこの公園は、昭和5年1月25日の開園と非常に古い。正面から見ると、左右に分かれている階段がシンメトリーを強調している。どことなくアールヌーボーっぽい装飾も気になっていた。ちょうどチンクェチェントのテストドライブで、近くを通りかかったため訪問してみたのだが、意外や意外、大変ユニークな構造の公園だった。

 この公園だが、文京区のHP上でも詳細が公開されている。

 元町公園の案内(文京区のHPより)

 それによると、関東大震災の復興事業の一環として作られたものだそうだ。お茶の水坂に面した正面入り口を入ると、階段の奥にアーチ状の装飾を施した壁面があり、そこで左右対称に階段が分かれている。この壁は「壁泉」と言われ、その名の通り正面中央には上層部からの水を流れ落とす所がある。左右の階段の上には、これまた左右対称に小広場があり、露檀が配置されている。向かって左側の露檀の方が、右側よりも数が多い。

 この公園のもう一つの特徴は、左側広場に設けられたカスケードと呼ばれる水階段だ。文京区のHPによれば、中世ヨーロッパのイタリア・ルネサンス式庭園に良く見られた構成で、日本では明治時代から昭和初期にかけて流行したそうである。階段状のカスケードの上には、水飲み場の蛇口があった。ここから流れた水が、入り口正面中央に設けられた壁泉から出てくる仕組みとなっている。なかなか面白い作りだ。

 露檀も結構重厚な作りになっている。左右の広場に配置されているものは、ギリシャ神殿のようなしっかりとした4本の柱で支えられている。壁面には十字型の切り抜きが設けられており、細かい所まで凝った作りとなっている。正面向かって左側の広場の隅には、おそらく鷹と思われる石造りの像が建っていたが、この由来は不明。。。

 初夏のような日差しの5月連休に訪れたのだが、小さいながら構成的にきっちりとまとまった公園で、とても面白かった。東京の中にも、まだまだこのような知られざる名所といったところがあるもんだと感心。


文京区元町公園の正面入り口
正面入り口はお茶の水坂に面している。階段を上って正面に見えるのが、壁泉と呼ばれるもの。このアングルからだと、左右対称構造が良くわかる。


文京区元町公園の正面入り口
壁泉とアーチ状の装飾が良くわかる。向かって左側の門柱には「昭和5年1月25日開園」の記載が残る。

壁泉の上から見た正面入り口
Kodak DC-4800に16.7mmのワイド・コンバージョンレンズを装着して撮影。実際の視野よりも広く写っている。元町公園は斜面に作られており、段々畑のような特徴的な構造が採られている。起伏のあるユニークな設計だ。

カスケード
元町公園の特徴の一つ、カスケードと呼ばれている人工水流。中央に配置された5段構成のテーブルの上を、水が下へ流れ落ちてゆくという、実に優雅な設計だ。この写真も16.7mmのワイドコンバージョンレンズで撮影しているため、実際の視野よりも画角は広い。

カスケードの構造
カスケードの水が流れるところを撮影。一番上は水飲み場となっていた!階段両側の装飾もアールヌーボーっぽくてユニーク。残念ながら、両側に設けられた花壇は、あまり整備されていないようだ。

左側広場
正面向かって左側広場を、ワイド・コンバージョン・レンズで撮影したもの。右手に露檀があるが、写真左外にも大きな露檀が配置されている。見れば見るほど面白い設計だ。

壁泉にある水の出口
正面の壁の中央にある壁泉のアップ。水の出口にも、このような細かい装飾が施されている。

左側広場に配置されている像
謎の像。おそらく鷹か何かであろう。立派な石柱の上に、水道橋方向を見ながら建っている。どことなくナチスドイツっぽい感じがするなぁ。。。

左側広場の露檀
左側広場には、正面の他に奥にも露檀があった。こちらは大きくて立派な作りだ。


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