■ パームトップ・パソコンの往年の名機 ■

T.Atari Portfolio の概要                      

Atari Portfolio は、知る人ぞ知るパームトップ・パソコンの古典的名機である。
本マシンは、16 ビット CPU を搭載し、手のひらに乗るパソコンとして使用するこ
とが可能な、初の製品である。                       

PCMCIA ADAPTOR を装着した Portfolio

Portfolio は、1989 年に発売された。このマシンは、日本語化が行われなかった 
ため、日本での知名度はかなり低い。しかし、海外、特にヨーロッパ圏ではベスト
セラーとも言えるメジャーなパームトップ・パソコンだ。Portfolio の裏面に添付
されているシールには、Maid in Japan の文字が記載されている。このマシンの製
造は日本なのだ。                             

Portfolio 裏面のシールのアップ

Portfolio という単語は「紙ばさみ」あるいは「折りかばん」という意味がある。
外形寸法は、VHS カセットテープとほぼ同程度のサイズである。CPU には、80C88A
を用いており、IBM PC 互換アーキテクチャを採用している。但し、完全な IBM PC
コンパチ機かと言うと、そうでは無い。液晶ディスプレイが CGA 仕様では無く、 
特殊仕様となっているため、全ての IBM PC 用のソフトウエアがそのまま動作する
というわけには行かないのだ。当然ながら、DOS/C のような CGA 画面を前提とし 
た日本語化もできない。                          

Portfolio のオペレーティングシステム(OS)には、SHARP のパームトップ・パソ
コンである PC-3000 と同様、英国 DIP 社が開発した MS-DOS 互換の OS、DIP  
Operating System を採用している。                     

余談になるが、SHARP PC-3000 は、1991 年頃に発売された極めて良くできた日本 
製のパームトップパソコンであった。しかし、英語版しか製造されず、日本国内で
は販売されなかったため、日本での知名度は極めて低いという、暗い過去を持つ。

SHARP PC-3000

この SHARP PC-3000 は、もともと ATARI Portfolio の後継機種として登場する予
定であった。ATARI Portfolio は、その発売直後から RAM 容量が少ない、LCD 画 
面が小さい、バッテリが消耗するとデータが消える、等の様々な問題点が指摘され
ていた。これらの点を改良すべく、DIP 社は Portfolio の後継機種、Portfolio 2
を開発したのであるが、ATARI 社はこの Portfolio 2 を次期製品として採用せず 
SHARP 社が Portfolio 2 のライセンスを買い取り、PC-3000 として製品化したの 
である。                                 

こうして、本来ならば、Portfolio の後継として位置付けられていた製品が、  
SHARP より発売になった。ATARI の Portfolio も SHARP の PC-3000 も、ブート 
時に DIP 社のクレジットが LCD に出力される。このことからも、両者のつながり
を知ることができる。参考までに、下記に PC-3000 と Portfolio のブート時のメ
ッセージを示しておこう。                         


・SHARP PC-3000 ブート時のメッセージ                   

 DIP 80C88A-BIOS  Version 1.010                     
 Copyright (c) DIP Reserch and Sharp Corp. 1991             
 All rights reserved                           

・ATARI Portfolio ブート時のメッセージ                  

 DIP Operating System 2.11 v1.072                    
 Copyright (c) DIP 1989                         

ATARI Portfolio 起動時のメッセージ

SHARP PC-3000 と ATARI Portfolio 、この両者の間には一見して何のつながりも 
無いように見えるが、実は異母兄弟みたいなものなのである。ブート時のメッセー
ジ以外にも例を挙げれば、Atari Portfolio には、電源スイッチというものが無く
コマンドラインで off コマンドを入力すると電源が切断されるが、PC-3000 にも 
全く同じコマンドが用意されている。このあたりからも、両者のつながりを感じ取
ることができる。                             

話しを Portfolio に戻そう。                        

Portfolio は、標準仕様では本体内蔵のメモリ容量がたったの 128KB しか無く、 
1基搭載されている PC カードドライブも、現在標準となっている PCMCIA 規格で
はなくて特殊仕様である。しかし、フリーソフトを使用すれば、Portfolio 上で日
本語を取り扱うことも可能だ。また、このマシンは本体の仕様がほとんど公開され
ており、なおかつ発売以来かなりの年月が経過しているマシンで利用者も多いため
実にいろいろな周辺機器が製品化されている。主に東欧圏で製作されたこれらのグ
ッズは、便利なものからブッ飛んだものまで、実にバラエティー豊かだ。このよう
なことからも、Portfolio の根強い人気を感じさせる。            

なお、この ATARI Portfolio が、ジェームズ・キャメロン監督の映画「ターミネ 
ーター2」にも登場したことは、マニアの間では結構有名である。映画の前半で、
サラ・コナーの息子であるジョン・コナーが、携帯端末を使用して銀行のキャッシ
ュディスペンサーをハッキングする場面があるが、そこで用いられている端末が 
ATARI Portfolio なのである。超古型パームトップでハッキングを行うとは、なか
なか凝った演出といえるであろう。                     

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