PC CHIPS M572 (1997)

写真1:PC CHIPS M572 MB 表面

写真1:PC CHIPS M572 MB 裏面


■台湾のマザーボードメーカー、PC CHIPS社のSocket7マザー
 ボード、M572。ベビーATサイズのボードで寸法は26×22cm。 
 1997年52週の製造。ボードのリビジョンはV1.2 。      
■チップセットにintel社製82430TXを搭載。このチップセットは
 BGAパッケージの2チップ構成。チップセットの型番は下記の通り。  
 ・82439TX(324ball-BGA):North Bridge。ホストPCIブリッジ    
 ・82371AB(324ball-BGA):South Bridge。PCI−ISAブリッジ   
■intelの430TXチップセットを用いた、PC CHIPS社として
 はオーソドックスな構成のマザーボードであったが、オンボードでサウンド
 機能を搭載していた点が特徴であった。                
■intel Pentiumの他に、Cyrix/IBM、AMD、IDT
 の各CPUが使用できた。CPUクロックのサポート範囲は90〜300 
 MHz。外部バススピードは60/66/75/83.3MHzが選択でき
 た。なお、各社CPUはプラグ&プレイで自動認識される。       
■ISAバスを3本、PCIバスを4本搭載。72Pin SIMMスロット
 を4本、168Pin DIMMスロットを2本搭載しており、最大メモリ
 搭載容量は256MBとなっていた。                 
■オンボードで512KBのレベル2 PBSRAMキャッシュを搭載。  
 キャッシュメモリチップにはUtron社製のUT6164C32Q−6 
 (1997年47週製造)を2個使用している。このチップはワンチップで
 256KBの容量を持ち、2個用いることで512KBキャッシュメモリを
 実現していた。その後、キャッシュチップはUT6164C64AQ−6が
 登場し1チップで512KBの容量を確保できるようになった。     
■オンボードI/Oは、IDE2系統とFDD、シリアル×2、パラレル×1
 USB×2、PS/2、IrDA及びサウンド機能。I/O制御チップには
 ITE社製IT8679F(1997年50週製造)を搭載。USBとPS
 /2、IrDA機能は、オプションのATXフォームカードを使用すること
 で提供可能となる。                         
■サウンドチップは3D Sound ProPCI版(HT1869V+:
 1997年51週製造)を搭載しており、PC98オーディオに準拠。  
 SPDIFインターフェースを内蔵しており、HRTFポジショナルオーデ
 ィオにも対応していた。                       
■使用デバイスは下記の通り。                     
 ・FW82439TX   :intel社製ノースブリッジ      
 ・FW82371AB   :intel社製サウスブリッジ      
 ・IT8679F−A   :ITE社製I/O制御チップ       
 ・IT8687R     :ITE社製I/O制御チップ       
 ・UT6164C32Q−6:Utron社製キャッシュメモリチップ  
 ・UT61M256JC  :Utron社製タグRAMチップ     
 ・HT1869V+    :3D Sound Proチップ     
 ・CMA8863−03  :CME社製クロックジェネレータチップ  
■IDEインターフェスはUltraDMA/33とACPIをサポート。 
■BIOSはAMIBIOSを搭載。                  
■以下にボードのスペックを示す。                   
項 目
内 容
CPU
intel Pentium P54C/P55C(MMX)、AMD K5/K6
IDT C6、Cyrix/IBM 6x86、6x86MX(M2)
CPU Clock 90 〜 300 MHz
BUS Clock 60/66/75/83.3 MHz
Cache Memory
512KB PBSRAM L2 Cache 搭載
Utron:UT6164C32Q-6 2個使用
Chip Set
intel 82430TX Chip Set
 ・FW82439TX:North Bridge
 ・FW82371AB:South Bridge
Momory
168 Pin DIMM スロット×2
72 Pin SIMM スロット×4
合計最高 256 MB まで搭載可能
Bus PCI×4本、ISA×3本搭載
Sound
3D Sound Pro チップをオンボードで搭載
PC98 準拠、HRTF、SPDIF 機能搭載
Super I/O
COM1、COM2、LPT1、FDD、Primary-IDE、Secondary-IDE
3D Sound、PS/2、USB1、USB2、IrDA
BIOS AMI BIOS

写真3:intel社製サウスブリッジ FW82371AB

写真4:intel社製ノースブリッジ FW82439TX

写真5:3D Sound Proチップ

写真6:Utron社製L2キャッシュメモリチップ

写真7:キャッシュメモリチップ UT6164C32Q−6

写真8:ITE社製I/Oコントローラチップ

写真9:キーボードコネクタ周辺部のアップ

写真10:M572 製品カタログ

■コメント                              
 M572は、チップセットにintel社の82430TXを使用した、比
較的オーソドックスな構成のマザーボードです。オンボードでビデオやモデム
やLAN機能等をテンコ盛りして搭載する同社の製品とは異なり、非常にすっ
きりとした構成になっています。これは、チップセットにintel社の製品
を使用していることによるものだとも思われます。搭載メモリも最大256M
Bまでとあまり多くはありませんが、これもチップセットによる制約を受けて
いるためです。                            

 そうはいっても、3Dサウンドチップをオンボードで搭載し、CPUを完全
プラグ&プレイで認識する等、基本的な機能は充実していた製品でした。72
Pin SIMMや168Pin DIMMの混在使用が可能なことや、AT
電源コネクタに加えATX電源コネクタを搭載している点など、仕様の過渡期
を象徴する構成になっている点も特徴です。特筆する部分はありませんが、基
本をしっかりと押さえた製品であると言えると思います。         

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