東京都世田谷区大原にある和田堀給水所は、筆者にとって余りにも身近な存在だったので、改めて見学したことは今までに無かった。しかし、この歴史的建造物も、改築のため解体されると知る。最後の見学会は、2013年10月05日(土曜日)に実施されたようだが、残念ながらそのことを知ったのは、見学会の後だった・・・見学会に行けなかったことを、今でも悔やんでいる。
ここに掲載した写真は、その後、遅れ馳せながら撮影してきたものだ。既に解体のための工事車両が入っており、作業が着々と進んでいるようだった。この給水所は、広大な敷地に設けられた円盤のような建造物なので、地表からではその外観を把握することが難しい。さらに近隣に高層ビルもないため、全体を俯瞰した構図を撮影することが困難だ。全体の構造を見る手っとり早い方法は、Googleの航空写真を見ることだ。
Google Maps上での位置は、下記の通り。
和田堀給水所
和田堀給水所には2つの配水池がある。2号配水池は長方形で、大正13年竣工。貯水量は30,000立方メートル。1号配水池は円形で昭和9年竣工。貯水量は同じく30,000立方メートル。配水池の番号と竣工年代とが一致していないところが面白い。
それぞれの配水池には特徴がある。2号配水池には、ギリシャ神殿を思わせるような建屋がある。左右にはドリス式と思われる柱があり、ペディメント部分には、東京都章が彫られている。この建屋は、長方形の配水池の南北に2個所、設けられている。
1号配水池はコロシアムを想わせるような円形の建造物で、中央に排気塔が設けられている。見るからに頑丈な作りとなっており、城壁のようにも見える。2号配水池と同様、南北に建屋があるが、規模は数倍大きい。建屋正面には、3つの大きなアーチ型の入り口があり、その左右に階段が配されている。極めてシンメトリックなデザインだ。
この和田堀給水所の詳細については、土木学会附属土木図書館のHPにある土木建築工事画報の、1931年4月号で見ることができる。
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