葛葉峠付近の揚湯ポンプ塔(2001年05月) |
ここに掲載する建造物は、もしかしたら現在も実際に使用されているものかもしれない。一見いかにも廃墟系であったことから、取り上げてみた。筆者は小谷温泉山田旅館を定宿とし利用しているが、この建造物は小谷訪問時に見つけたものである。国道からは山の頂上に突き出た展望台のように見えるのだが、利用されているフシは見当たらず、なおかつかなり荒れているように思え、以前から気になっていたものだった。小谷温泉に行くたびに、遠くからは何度となく見ていたが、なかなか近寄る機会が無かった。2001年5月に訪問した際、ようやくその詳細を調査した次第である。
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ところが、いざ近くまで行ってみようとすると、意外にも場所がわからない。遠くからは良く見えるのであるが、塔までなかなかアプローチできないのだ。これはまるでカフカの「塔」そのものである。場所は長野県小谷村の近く、長野県と新潟県の県境にかかる国界橋付近である。国道148号線沿いでは無く、旧道すなわち県道375号線を使わなければ行くことができない。国道148号線から姫川温泉に入り、県道375号線を白馬大仏の方へ向って上って行く。白馬大仏を通り過ぎたあたりが葛葉峠であり、峠の茶屋が一軒あるのだが、そこから先は通行止めになっているはずだ。その峠の茶屋の少し手前に、未舗装の林道のような登り坂がある。当然車では通ることはできない。その道を登り詰めたところに、この揚湯ポンプ塔は建っている。
Google Maps上での位置は、下記の通り。 |
揚湯ポンプ塔の周りは雑草が生い茂り、定期的にメンテナンスされている感じでは無い。人が通った形跡はほとんど見当たらない。塔の周りには蔦がからまり、荒れ果てた感じである。以前は展望台として利用されていたようで、アーチ型の看板のようなものが残っていた。はっきりと覚えてはいないのだが、電気化学工業株式会社が管理しているような表示を見た覚えもある。塔の屋上は展望台になっており、斜めにかかった鉄製の階段を上れるようになっている。腐食による抜け落ちが怖かったのだが、とりあえず頂上に登ることができた。 頂上からの眺めはさすがに良い。地上から目立つところに建っているだけのことはあり、遠くまで見渡せる。残念ながら日本海は見ることができなかったが、葛葉峠付近の地形は一目で見渡すことが可能だ。写真6bは、新旧の国界橋のアップ。川下にかかる緑色の橋が、1995年の水害後に建設された新しいもの。ちょっとわかりにくいが、上方にかかる赤い橋が、もとからある国界橋である。このあたりは、前出「猫鼻温泉跡」の項目でも示した通り、1995年7月の集中豪雨により、大きな水害が出た地域の中心部である。 |
揚湯ポンプ塔内部は、外壁についた螺旋状の階段を登って塔の中ほどに設けられた入り口から入る。鍵がかかっているため内部には入ることができなかったが、ドアの窓から中を見ると、揚湯ポンプ制御用の機器と連絡用の電話等を確認することができた。揚湯ポンプは稼動しておらず、計器は0をさしたまま止まっているようだった。建物の中に張られたカレンダーは1995年1月を示していたので、少なくともその時までは使用されていたものと思われる。電話機には埃が堆積し、ここ半年くらいは全く利用されていないように思える。この施設が現在も利用されているのかどうかは不明であるが、展望台としては、かなり前から利用されていなかったように思われる。最も、このような山奥までわざわざ登ってくる観光客が、果たしていたかどうかは疑問ではあるが。。。。 |
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