リストマーク 日窒鉱山(2003年04月) Page1

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写真1:日窒鉱山選鉱場全景


写真2:日窒鉱山社宅跡

 株式会社ニッチツは、昭和25年8月1日に設立された。現在では「機械本部」「マテリアル本部」「ハイシリカ本部」「施設本部」「資源開発本部」「建材本部」の6つの事業を主軸として操業している。このうち「資源開発本部」が置かれている場所が、秩父多摩国立公園の地域内にある秩父事業所である。ここでは日本屈指の品質と埋蔵量を持つと言われている鉱床から、結晶質石灰石と珪砂を採掘しており、重質炭酸カルシウムやシリカ、リシン等を製品化している。

 秩父事業所には、かつて隆盛を極めた頃の社宅や工場跡が、今でも廃墟として残っている。これらの廃屋は、中津峡の斜面沿いに広い範囲に渡って点在している。中でも「小倉沢小学校跡」は、各廃墟写真集でも取り上げられた有名なものだ。注意しなくてはならないことは、「日窒秩父事業場」自体は、現在でも操業している現役の事業場である。そのため、勝手に建物の中に入って写真を撮るような行為は慎みたい。最近では使用している施設を廃墟と勘違いして侵入する人も多いようで、至る所に注意書きが張られていた。見学する際にはマナーを守り、迷惑をかけないようにしたいものだ。

日窒秩父事業所のMapion上での位置は、下記の通り。

http://www.mapion.co.jp/c/f?el=138/48/35.714&scl=250000 &pnf=1&uc=1&grp=all&nl=36/00/42.899&size=500,500


写真3:日窒鉱山丹岫寮跡

 筆者にとって日窒見学までの道のりは長いものだった。最初に訪問を試みたのは、2001年1月28日。この時は、秩父にある柴原温泉に1泊するという周到な計画であったのだが、あいにくの記録的な大雪で中止となる。その後も同行者の都合が付かず2回ほど流れており、今回が4度目の挑戦となった。

 日窒鉱山までのルートで気を付けないといけない所は二箇所。一つは国道140号から中津峡への入り口で、新しく出来たループ状の橋梁を渡り、トンネルに入る直前を右折して入る。中津峡への道に入ると、途中右手にトンネルがあるT字路にさしかかるが、ここがもう一つの注意点。このT字路を右折しなければならない。走行中、突然道がダートになったら、右折し忘れで間違えているので、引き返すこと。

 日窒鉱山は、壁面が素堀の「雁掛トンネル」を抜けると出現する、峡谷の中の工場地帯だ。雁掛トンネルを抜け、右側に両神山、左側に赤岩峠を望みながら峡谷沿いの道を登って行くと、右側に秩父鉱山簡易郵便局と日窒資源開発本部の事務所が出現する。その先には、右手の斜面に巨大な選鉱場が見えてくる。これが現在でも操業しているリシンおよびタンカルの工場だ。両神山方面へ登って行くに従い、中津川の両側に当時の多数の住宅廃墟が見えてくる。川沿いに建てられたものもあれば、小高い丘の上に残されているものもある。鉱山敷地のほぼ中央に、共同浴場跡がある。さらに進むと、有名な小倉沢小学校跡、給食センターや丹岫寮などの施設がある集落を経て、珪砂工場に出る。この珪砂工場が事業場のほぼ外れとなり、それから先は八丁随道に至る上り坂が続く。

 取材当日は良く晴れて、暖かく、標高860mの日窒鉱山も、汗ばむほどの陽気であった。中津峡沿いの道はライダーにとっては有名なようで、当日も多くのライダーが走行していた。日窒鉱山も廃墟マニアの間では有名になってしまったため、カメラを持って見学に来たグループも何組か見受けられた。WEBページで検索をかけると、いくつものサイトが日窒を紹介している。かつてはマニア向けの秘境であったところも、今となっては随分と有名になってしまったものである・・・・・・

 以下のフォトレポートは、日窒鉱山への入り口にあたる雁掛トンネルから、八丁随道に向けて道路を登って行くに従い見えてくる施設を、順番に掲載している。日窒鉱山へは雁掛トンネルからのアプローチを取るように。聞くところによると、八丁随道は、良く通行止めになってしまうそうだ。なお、鉱山事務所前には、大きな地図がかかっていた。最盛期の頃のもので、内容的には若干古いと思われるが、当時の様子を知る上で貴重な資料となっている。以下に、デジカメで撮影した地図を掲載しておく。詳細を見たい方は、地図を3つのパートに分けて拡大撮影しているので、そちらを参照して頂きたい。

日窒鉱山秩父事業所マップ
■■■ 日窒鉱山マップ ■■■ 

・全体画像詳細(約260KB)パート1詳細(約330KB)パート2詳細(約410KB)パート3詳細(約460KB)

写真4.日窒鉱山事業場への入り口にあたる「雁掛トンネル」。素堀のトンネル内部には、道路の両側に送電線とパイプラインが走る。中津川から小倉沢への入り口にあたるこのトンネルは、自家用車がやっとすれ違うことができる程度の幅しかない。写真は日窒鉱山側から撮影したもの。奥に小さく出口の明かりが見えている。トンネル内は一定間隔で蛍光灯の照明が備わっている。


写真5.雁掛トンネルを抜けてすぐ右側に現れる、趣深いトンネル。いかにも廃墟へやって来たという感が強い。このトンネルの向こう側には、第一沈殿池(旧捨石堆積場)なるものがあるそうだが、立ち入り禁止のため確認は取れていない。なお、このトンネルの入り口には、立ち入りを禁ず旨の張り紙がしてあるが、落石の危険のみならずマムシも出没する場所なので、絶対に立ち入らないことという、極めて強い表現となっている。


写真6.これは現役で使用されている施設。秩父鉱山簡易郵便局である。この日は休日のためシャッターが下りている。建物自体はかなり古く、いい味を出している。郵便局の隣には株式会社ニッチツの秩父事業所事務所が隣接しており、この辺りは現在の日窒鉱山の中心部とも言える。建物右側奥に見える白い山は石灰。


写真7.株式会社ニッチツの秩父事業所事務所全景。資源開発本部が置かれているところと思われる。ここも現役の建物。背後には、リシン及びタンカルの選鉱場がある。その奥に見える山は両神山。山間だけに日が暮れるのも早い。この写真を撮影したのは、午後4時近くであるが、すでに周囲は薄暗くなりつつあった。画面左端には、事業場全体の地図が架かっている。非常に大きなもので、事業場内の施設はもとより、坑道の位置まで詳細に記したものだ。


写真8.事務所の隣にある施設からタンカル選鉱場を望む。この建物が現役で使用されているのかどうかは不明。一部駐車場として利用されているようだが、かなり痛みが激しい。


写真9.事業所事務所の先を少し進んだところにある廃屋。おそらく社宅だったところであろう。雁掛トンネルを出て初めて目にする廃墟らしい廃墟である。写真で左側に入って行く道があるが、これは第二沈殿池(雁掛捨石堆積場)へ通じる細い道路。急な上り坂になっている。第一沈殿池と異なり、こちらは舗装されているため、まだ使われているのかもしれない。


写真10.写真9に示した廃社宅のアップ。軒先にはスズメバチの巣が作られていた。


写真11.小倉沢小中学校の正門に至る道。この施設は現在、株式会社ニッチツの管理下に置かれているため、見学するためには同社の許可が必要となる。小中学校正門は、メインストリートから砂利の坂道を登ったところにある。門柱にはかつて「小倉沢小中学校」の表札がかかっていたハズだが、今は株式会社ニッチツの注意書きのビラが貼られている。


写真12.小倉沢小中学校の校庭。ニッチツの資材置き場と化している。右手奥には、校舎の正面玄関が見える。木造の校舎は一段高くなったところに建っており、教室の窓には達磨ストーブ用の煙突が付いている。外見はたいへんしゃれており、きれいな木造校舎だった。


写真13.小倉沢小学校の校舎の一部。正門に向う坂道沿いに建っている建物の一つ。こうしてみるとまだまだ現役で使用できるほど程度は良い。株式会社ニッチツが現在でも利用しているものわかるような気がする。


写真14.小倉沢小中学校へは、不法侵入者が後を絶たないせいか、このような紙が至所に貼られていた。確かに、現状業務として使用している会社にとっては、頭の痛い問題なのかもしれない。小倉沢小中学校の内部を見学したい場合には、事業所事務所へ許可を得れば可能とのことである。どうしても見たい方は、同社の許可を取るように。


写真15.小倉沢小学校の校庭へ通じる橋。小倉沢を跨ぐ形で設置されている鉄骨製の橋梁であるが、かなり錆びているため危険な状態にある。


写真16.事業場のほぼ中央にある共同浴場の跡。この一帯はかつて商店等があり、人が集まる場所だったようだ。銭湯の隣には空き地があり、現在は消防団の倉庫が置かれている。


写真17.共同浴場の正面入り口。温泉街の外湯のような雰囲気がある。
    建物の正面には2つの注意書きがある。

・従業員並びにその家族の浴場に付き、部外者の入浴はご遠慮下さい。 事業所長
・注意:社宅内での物品販売は、会社の許可がないと出来ません。   日窒鉱山株式会社


写真18.共同浴場付近の社宅。左右に見えるのは比較的最近建てられたもの。その奥には、木造の極めて古い社宅も見受けられる。社宅はどれも密集しており、住環境はそれほど良くなさそうだ。


写真19.共同浴場付近にある、商店が入っていたと思われる建物。FANTAのポスターが懐かしい。そうかと思えば現役の自動販売機もあったりする。


写真20.共同浴場付近にある廃屋群。手前の廃屋はトタン屋根の長屋で、保存状況は悪いほうだ。斜面にも廃屋が点在している。


写真21.トタン屋根の廃屋の玄関。荒れ放題の軒先には、「導火線」のダンボール箱も見える。いかにも鉱山街らしい風景と言える。



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