リストマーク JR上越線土合駅下りホーム(1999年06月)



リストマーク JR上越線土合駅下りホーム画像アーカイヴ (1999年06月)は、こちら



写真1.土合駅地下ホームへの階段。(地下ホームより上部出口を見上げて撮影したところ)。まるで往年のTV映画「タイムトンネル」そのものである。

 JR東日本上越線土合駅は、廃墟では無い。しかし、雰囲気が極めて廃墟に近い。この駅は、鉄道マニアの間では「モグラ駅」の名称で親しまれている。上りホームは通常の地上駅であるが、地下ホームが新清水トンネル内にあり、地上にある駅舎から徒歩10分程度の階段を下りないと到達できないのである。上下ホームとの間には、81mの高低差、長さ338mに及ぶ462段の階段、143mの連絡通路、24段の通常の階段があるのだ。これはもやは、同一の駅と呼ぶには無理がある。土合駅についてはこちらに詳細が記されている。

 土合駅を訪れたのは、1999年6月であった。無人駅で辺りに人気も無く、駅舎の前には広大な砂利びきの広場があるだけの、のどかな所だ。駅舎は山小屋のようなデザインでなかなかシャレている。谷川岳への登山口駅として知られているが、水上駅や上毛高原駅からバスを利用する人が増えたため、土合駅の利用者はあまりいないようである。

Mapion上での位置は、下記の通り。
こちら


写真2.土合駅舎。
三角形の屋根が山小屋のようで、いかにも登山口の駅といった風情がある。駅舎の前の異様に横長の階段部分が、妙に共産圏建築臭い。駅舎の前は広大な砂利の広場で、何も無いといっても過言ではあるまい。

 土合駅に入るには、140円の入場券を購入し切符回収箱に入れる。駅舎内はガランとしており、さらに節電のため照明も少なく 少し不気味である。この写真には写ってないが、改札口には新清水トンネル建造時のエピソードが書かれている。また注意事項として「下りホームへ行くには10分近く時間がかかるので、下り列車を利用される場合には、到着の少なくとも10分以上前に移動を開始してください。」という張り紙がある。待合室は立派であるが、あまり使用されていないため痛みがけっこう激しい。取材当日は、迷い込んだ大きな蛾が、外に出ようとガラス窓にぶつかって、コンコンと音を立てていた、と言えばどのくらい静かな駅であるかがおわかりいただけると思う。下りホームへは、川を跨ぐ連絡通路から進入する。

 この下りホームへの連絡通路も、かなり素っ気ない。コンクリートブロックで囲まれた迷路のような構造で、ダンジョンに入ったかのような感覚を受ける。連絡通路の途中には、所々に階段があり、上りホームから下りホームへ向かうと、少しずつ下っているということが判る。

写真3.土合駅地上ホーム。
地上ホームは上り専用として使用されている。ここだけ見る分には、何の変哲もないローカルな駅だ。

写真4.土合駅の駅舎内部
地上駅舎の改札を通ったところにある空間。直進すると地上の上り線ホームに出る。画面左側の外に上り線のレールが施設されている。向かって右側が改札口。画面手前方向が、地下駅に通じる通路になっている。

写真5.土合駅発着時刻表
取材当時の1999年6月では、上り、下り合わせて1日6本であった。

写真6.下りホームへの連絡通路
連絡通路は、土合駅の前に流れる小川と道路を跨いで、山の土手っ腹に突っ込んでいる。

写真7.連絡通路内部
土合駅地下ホームへ降りる階段に通じる連絡通路の内部。土合駅の傍には、県道と川が流れている。地下ホームへ降りる階段はこの県道と川を渡った山の中に建設されている。したがって、地上駅舎から階段があるところまで、渡り廊下のような連絡通路を延々と歩いて行く構造となっている。この通路であるが、コンクリートブロック造りの無機的なもので、ところどころに階段があり、まるでダンジョンのようだ。照明も節約のために点灯されておらず、明かりは窓から差し込む日光のみである。駅だということを知らなければ、まるでディズニーランドのアトラクションのようだとも言える。この写真はトンネル階段から駅舎へ向かう際に、駅舎方面を向いて撮影したものである。駅舎の方が位置が高いため、階段を登っていくことになる。

写真8.地下ホームへの入口#1
地下ホームへ向かう連絡通路を、丁度川の上あたりから駅舎方向を向いて撮影したもの。ちょっとわかりにくいかもしれないが、正面にV字型をした衝立てがある。これは実は風除けなのだ。地下ホームからは、かなりの強さの風が吹きあげて来る。この衝立ては、風を軽減するために設置されたものなのである。実際衝立てがあるにもかかわらず、この部分を通過するときには、正面から猛烈な風を受けた。歩いていると、いきなり突風が吹いてきたので、実際かなり驚いた、というか気味悪い思いをしたものだ。まさに「地獄の底から吹いてくる風」といった感じで、実に趣がある。

写真9.地下ホームへの入口#2
ここが地下ホームへの入口である。この先には長さ338mに及ぶ462段の下り階段が待ちかまえている。地下からは猛烈な風が、容赦なく吹き上げてくる。

写真10.地下ホームへの階段
地上駅舎から一気に地下ホームへ向かう、462段の階段を上から望む。階段は5段ごとに踊り場が設けられた構造となっている。右側の未使用のスペースは、エスカレーターを設置するためのもの。乗降客の少なさと財政難から、エスカレーター設置計画は、当然であるが宙に消えたようである。トンネル内部はコンクリート打ちっぱなしで、あたかも核シェルターの入り口のようだ。所々に水が染み出した後が残る。照明は非常に暗く、一人で入って行くのには勇気がいる。この写真はフラッシュを発光させて撮影したが、非常に暗くて何が写っているのかが全くわからない写真になっていたため、フォトショップでギンギンにレタッチをかけて増感し、なんとか見られるようになった。階段部分の上から 1/3 ほどのところには、休憩用のベンチがある。下から登ってくる乗客の多くは、2/3 程度まで行くと息切れを起こすのであろう。階段内部には、「ゴミは捨てずに、絶対に持ち帰ってください。」という看板があった。階段途中に捨てられたゴミは、おいそれと掃除できないから、これは切実な問題なのであろう。

写真11.土合駅地下ホーム
土合駅下り線地下ホームの中央からホーム先端を見たところ。左側に黄色く光っている表示は、「出口」と書かれた看板である。右側下に線路がうっすらと見える。なお、線路は複線となっていた。ホームには中央に待合室があるだけで、その他は何もない。当然ながらKioskも無い。たとえあったとしても、使う人がいないだろう。気温は低く湿度が高いため、かびくさい感じがする。列車は一日に6本しかないため、この駅で降りると最短で一時間、最長で4時間程度待たなくてはならない。しかし、こんなに薄暗くて人気の無いところだと、犯罪でも起こりそうで不気味だ。この写真も、フォトショップで加工処理して、何とか見えるようにしたものである。当日は鉄道マニアと思われるグループが4名程度ホーム上で待機していた。

 土合駅は産業遺跡のような雰囲気を持つ廃墟系である。140円の入場料でこれだけの雰囲気が楽しめるのであるから、文句なしだ。但し、体力は要る。下りホームへの往復は、かなりしんどい。これを楽しいとは思うヒトは、よほどの好き者であろう。1日6本の電車の発着のために、新清水トンネルの奥深く、地下81mにホームを建造し、462段の階段で駅舎と結ぶというのは、常軌を逸していると言えなくもない。このとんでもなさが、筆者を引きつけて止まないのである。

【注記】
本取材は1999年6月に行いました。聞くところによると、その後の情報では、エスカレーター設置部分には資材運搬用のモノレールが敷設されたとのことであるが、筆者は確認していない。なお、取材当時に使用したカメラは、KODAK DC260であり、かなり初期のデジカメである。従って、本件のような悪条件下での撮影は困難を極めた。画素数も少ない時代であり、フォトショップで加工をしても、限界がある。画像が多少見苦しいのは、勘弁して頂きたい。



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