リストマーク 同潤会青山アパートメント(2002年12月)

同潤会青山アパートメント 外観


 同潤会青山アパートメントについては、各種メディアやWEB等で多数取り上げられているので、ここで改めて解説する必要も無いであろう。本コーナー「同潤会鶯谷アパートメント(1999年01月)」でも記載した通り、同潤会とは、関東大震災の時、国内外から集まった義損金の一部を元に、1924年(大正13年)内務省内部に作られた財団法人である。同財団法人は、東京と横浜に16棟のコンクリート製集合住宅を建設したが、青山アパートメントもこのうちのひとつである。手元の資料に寄ると、着工は1925年11月、最終的な竣工は1927年4月となっているので、取材当時(2002年12月)の時点で、実に75年も経過していることになる。構成は、3階建建築が9棟、3階建地下1階が1棟、総戸数138戸となっている。2003年に全て解体された後、建築家安藤忠雄氏が設計した表参道ヒルズとして生まれ変わったことは、あまりにも有名。

 青山アパートメントは、文句なしに最も都会的な廃墟系であった。その立地条件もさることながら、解体撤去直前まで、ブティック等のオシャレな店舗が入居していたこともある。確かに表参道に面した棟は、いずれも小洒落た店舗が並び、レトロなスポットとして人気があった。しかし、一歩内側に入ると、とても都心とは思えない静かなで落ち着いた空間であり、他に取材した同潤会アパートメントと変わるところは無い。

 ここに掲載した写真は、解体決定が公表されて間もない、2002年12月に撮影したものだ。カメラはKODAKのDC-4800を使用。筆者は基本的に、コストパフォーマンスと後処理のことを考えて、廃墟系はデジカメで撮影していたのだが、この時ばかりは銀塩写真でも撮っておけば良かったと、実は後悔している。冬晴れの午後、コントラストが強すぎて、DC-4800では十分に表現できなかったのである。取材日に撮影した枚数は、短時間ではあったが100カットを超えた。解体が決まっていたということもあり、筆者の他にも写真を撮影している方を、数名見かけた。建物の老朽化と立地の良さを考えると、再開発はやむを得ないと思われるが、それにしれも、このような歴史的な集合住宅がまた一つ、消えてしまったことは、残念でならない・・・

現在はもう残っていないが、Mapion上での位置は下記の通りである。
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=all &nl=35/39/50.408&el=139/42/42.845&scl=10000&bid=Mlink

同潤会青山アパートメント外観
表参道の神宮前小学校入口付近から撮影したショット。原宿駅から歩いて行って、青山アパートメントが始まる所である。師走の午後ということで、影が長い。


表参道に面した部分
中央に階段室がある。この頃はまだ、ブティック等のテナントが多数入居しており、オシャレな雰囲気であった。


表参道に面した入口 #1
この入口は、特に改修や塗装をしておらず、当時の雰囲気のまま残っていたものの一つ。


表参道に面した入口 #2
入口のうち、いくつかは写真のようにキレイに塗装し直され、使われていた。テナントにブティック等が多いからであろう。


外壁を這う蔦
表参道に面した部分でも、このように廃墟系しているところを見いだすことができる。幾重にも重なり合った蔦は、歴史を感じさせる。


アパート外壁
上記写真の棟を、正面側から撮影したもの。テナントが撤去した後で、空っぽの部屋も見受けられた。


中庭に通じる通路
アパート中程には、中庭に通じる通路がある。写真のように、一歩入ってしまうと、表参道の雰囲気とは全く別の世界が広がる。植木が多いが、手入れされていないのか、荒れた感じがする。


中庭部分から表参道を望む
上記写真を、中庭側から見たショット。正面奥に見える道路が、表参道。このように、中に入ってしまうと、結構落ち着いたレトロな空間が広がっている。


中庭に残されていた井戸
懐かしい手押しポンプの井戸が残っていた。昔は飲み水をここからくみ上げていたのだろう。さすがに、今となっては機能していないと思われる。


街灯
同潤会のアパートに共通して見受けられるデザインの街灯。既出「鶯谷アパートメント」にも、同種の街灯があった。


青山アパートメント裏側
表参道から道を一本入った裏側から見た、青山アパートメント。かなり乱雑な感じを受ける。


中庭から見たアパート外観
表参道の雑踏が嘘のように消えてしまう、中庭部分。


階段踊り場 #1
階段を登り切ったところ。屋上に通じる踊り場部分。正面奥にあるのは、物置室。


階段踊り場
上記写真を撮影した場所を、上から見下ろしたショット。開口部が額縁のように見える。手すりはペンキも剥げ落ちている。


階段室から見た中庭部分
建物内部にも蔦が這っている。荒れた感じではあるが、汚くないところが、廃墟系として上質なところか。


階段踊り場 #2
同じ踊り場でも、このようにゴミが堆積していたところもあった。プリンターや発泡スチロール等、物置からはみ出てしまっている。


アパート出入り口
これも同潤会共通仕様と言える設計。各階のアパート出入り口。V字型に並んでいる。しかし、隣家とこうも近いと、やりにくい面もあるのではと思ってしまう。他人との距離が近かった時代の産物であろう。


入口ドアのデザイン #1
錆びて古めかしいものの、素晴らしいデザインである。


入口ドアのデザイン #2
こちらも、出色のデザイン。三角形の飾りを配するなんて、今のドアには滅多に見られない。


アパート入口部分にある配電盤の跡
アパート入口部分にある、配電盤の跡。この配電盤は、既に撤去済みとなっていた。


アパート入口部分の入居者票
これも同潤会共通仕様とも言える、入居者票。アパート各棟の入口部分に提示されている。写真は5号館右入口のもの。


柱の飾り
こうした昔の建築を見て感心する部分。このような階段の柱にも、かなり細かい装飾が施されている。同潤会アパートに見られる共通したもの。因みに、階段室に入ってみて感じるのは、天井が低いこと。現在の建築とは異なり、全てにおいてこぢんまりしている。


屋上の風景 #1
澄み切った冬の空の下、右手に代々木のDoCoMoの塔がかすかに見えている。階段室は蔦に覆われており、倒れたTVアンテナや廃棄された冷蔵庫が無造作に散らばっている。青山アパートの屋上は、かなり荒れ果てていた。


屋上の風景 #2
屋上に上がって思うことは、壁面の高さである。通常、アパートの屋上は、金網に囲われているものの、もう少し見晴らしが良い。ところが青山アパートメントは、このように壁に覆われている。これには理由があり、建設当時、表参道に面していたこともあって、屋上に洗濯物が干してあるのが見えると、景観に支障が出るとのことで、このような高い壁面になったとのこと。そういえば、物干し台と壁面とは、ほぼ同じ高さになっている。


屋上の風景 #3
今回の取材で、最も印象深かったのが、この写真。朽ち果てた椅子が、ポツンと1脚だけ置かれている。過去に取材した人が、意図的に置いたのかもしれない。。。


屋上の風景 #4
階段室の中から見た、屋上。


表参道から見たアパート群
取材の最後の一枚として、地下鉄表参道駅付近から見たアパート群を、通りを挟んで撮影する。この風景も、現在では見ることができない。



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