2005年冬号:現場の味方!質実剛健!実用一本槍!
Psionのタフガイ端末、Workabout



 2005年冬号。Mobile Pressは、本号をもって休刊ということになった。2004年の10月初旬に編集部から休刊の通知を受けたのだが、当時、筆者は長期の海外出張を控え多忙を極めていた。普段よりも早く原稿を書き上げ、出張前に提出するために最終的な推敲をしていたところだったので、この通知はまさに青天の霹靂であった。本来であれば、最終回として、連載を総括するような記事を執筆したかったのだが、時間的余裕が全くなかったのが悔やまれる。

 とは言え、今回取り上げたPsion Workaboutは、産業用端末として是非紹介したいと考えていた製品だった。以前に取り上げたPsion HC110の後継機種で、デザインや搭載OSなどが格段に改善されている。ヘビーデューティーな用途に特化した完成度の高い端末なのである。防塵・防水のためのケースの構造などは、イギリスの工業デザインのレベルの高さを如実に表していると言っても過言ではない。

 国内でもワカバが輸入代理店として販売しており、日本語化のためのDYLと日本語フォントの提供も行っていた。OSそのものを完全に日本語化するものではなかったが、ユーザーが作成したプログラムのメニューや文字表示を日本語化することが可能だった。

 Workaboutにはいくつかのバリエーションがあるが、アルファベットキーを廃してテンキーとファンクションキーだけを備えたNumericバージョンには、独特の迫力がある。こうしたキーの少ない「変態」端末が大好きな柴隠上人稀瑠冥閭守(Kerberos)氏などは、このバージョン専用のJEditを開発して悦に入っていたものだ。

 連載最終回ということで、本編以外にも盛り沢山な内容となっており、前号で報告したPsion MC200についても簡単に紹介している。この端末は、製造台数が極めて少なかったようで、入手するのに随分と時間を要してしまった。

 今後、取り上げる予定だった端末についても紹介した。GeoFox OneやOsariSなどの互換EPOCマシンや、キング・オブ・謎パ~機のTidalwave製ME-386、香港製の謎のペン入力PC、DAUPHIN DTR-1などである。まだまだ色々な機種についての怪しいコンテンツを考えていただけに、返す返すも残念至極な休刊なのであった。
合掌!(-人-)






Workaboutの元箱と本体
Workaboutのカラーリングは黄色が基本だが、本個体はグレーとなっている。

Workaboutのカタログ
ワカバが作成したPsion Workaboutのカタログ。この手の端末で日本語のカタログが存在するのは珍しい。

Psion Workabout
他のPsionシリーズとは全く異なるデザインのWorkabout。産業用端末らしく質実剛健、色気なし。

Psion Workabout背面の銘板
1995年イギリス製マシンであることを示す表示。

SSDとバッテリ格納ユニット
Workaboutには、構造上の驚くべきギミックが施されている。本体上部がガバっと飛び出して、バッテリとSSDカードを格納する仕組みは脱帽ものだ。

バッテリ格納状況
手前にCR1620コイン電池を縦に挿入する。メインバッテリは単3乾電池2本を格納する。

標準のI/F端子
Workaboutには3つの拡張I/Fを搭載することが可能だが、デフォルトでは本体下部にLIF-PFSコネクタ1個が搭載される。

本体上部カバー
拡張I/Fを搭載する場合には、この本体上部にコネクタが並ぶ。RS-232C等のD-Sub 9pinコネクタは、ここに搭載される。

Workaboutのシステムスクリーン
Workabout専用日本語エディタ「JEditw」のアイコンが並ぶ。

JEditwの画面
ボールド化したFONT.14フォントファイルを用いた標準版のJEditwの画面。

JEditweの画面
8ドット恵梨沙フォントを用いたバージョン。1画面当たりの情報量は増えるが、老眼には辛い。

JEditwrの画面
ワカバ製リョービ本明朝14ドットフォントを用いたバージョン。フォントの線が細く繊細な印象。

JEditwdの画面
ワカバ製日本語表示DYLを用いてメニュー画面を日本語化したもの。フォントは、リョービ本明朝14ドット。

日本語表示DYLを用いて作成した日本語アプリ
柴隠上人 稀瑠冥閭守 (Kerberos)氏が冗談で作成した「クトゥルー眷属召喚ソフト」。もう何がなんだか...。でもメニューも含め総て日本語化できている。ビョーキだ。

Psion s3とWorkabout
Psionシリーズは互換性が高く、このようにSeries3用に作成したJEditが、Workabout上でも問題なく動作する。

Psion Series 3上のJEdit
本家、Psion Series 3上で動作するJEditの画面。

Psion Workabout Numeric
特大のファンクションキーとテンキーパッドが搭載されるPsion Workabout Numeric。現場での情報入力に特化したバージョンである。

新旧Workaboutの比較
外観上の大きな相違は、ドロワーキーの位置である。旧型(左)は、液晶ディスプレイの左側に配置されていたが、新型(右)では本体裏側にロック機能付きで配置されている。なお、新型では「mx」の表記が追加されている。

新型のドロワーキー
新型Workaboutでは、ドロワーキーが本体裏側に配置される。赤いボタン状のものは、キーロック機構。細かいところが改善されている。

Workabout Numeric用JEdit
カーソルキーと数個の文字入力キーを用いて日本語入力を行うNumeric用JEditの画面。P/ECE用日本語エディタのP/Editのノウハウが注ぎ込まれている。

謎のオプションBOX
Numericバージョンに装着されている謎のボックス。RS-232C I/Fコネクタと、おそらくメモリカードを挿入すると思われるスロットがある。

Psion MC200
Psion製品の中でもレア中のレアアイテム、MC200。製品台数は極めて少ないようで、今となってはほとんど見かけることが無い。

MC400とMC200
左がMC400、右がMC200。両者の相違は、液晶画面のサイズを見れば一目瞭然。

MC200裏面の銘板
この個体のシリアル番号は「100009」。ってーことは9番目の製品ということ???

MC200専用日本語エディタMCEdit
柴隠上人 稀瑠冥閭守 (Kerberos)氏の怪作、MC200専用日本語エディタMCEditの超プロト版。おそらく日本にはこれ1台しかないと思われるマシン専用のエディタを開発する氏っていったい...。

GeoFox One
互換EPOC-OS搭載のカルトマシン、GeoFox One。これを見て「懐かしい!」と思ったお方は、ほぼ廃人確定。

OsariS(オサリス)
もう、あまりにもマイナー過ぎて謎パ~にすらなれないマシン。

ME-386
キング・オブ・謎パ~機、Tidalwave製ME-386。モバイルマニアの間では有名だった。謎パ~機のお手本のようなマシンで使いやすかった。

DAUPHIN DTR-1
これはさすがに日本には入って来ていないようだ。中文版Windows 3.0搭載のペン入力マシンである。

Omni Book 425
HPマニアの間では有名。95LXのジャンボポッキー版である。

hp iPAQ h2210
筆者が密かに使用しているモバイル端末。iPAQとAirH"カード、無線LANカードがあれば、ほぼ無敵。どこでもメールとWebをチェックすることができる。