2004年冬号:濃い系 Psion の世界 #5
Early-Psionの系譜:Organizer-I、IIの世界(後編)



 前号に引き続き、「Psion Organiser-I、IIの世界(後編)」と題して、各種の周辺機器等について取り上げた。記載した製品は、以下の通り。

  1. Organiser-II用通信セット Comms Link
  2. The Organiser用通信セット Link-Up Pack
  3. Organiser-II用ACアダプタコネクタ
  4. Organiser-II用拡張バッテリユニット DT/CELLPAK
  5. Organiser-II用プリンタユニット Comms Printer II
  6. Psion Organiser-II Printer
  7. Psion Datapak Formatter
  8. Organiser-IIのOEM製品 RE/MTL611

 上記の製品リストを改めて見ると、どれも大変マトモな製品である。紙幅の都合で、代表的なものしか掲載できなかったのだが、実は、Organiser-IIには怪しいサードパーティー製の周辺機器が数多くあるのだ。中には、まるで手作りのプロトタイプのような機能・品質のものまであって興味が尽きない。こうした何でもアリという状況は、この時代の一部の製品に共通するようで、以前の記事で紹介したATARI Portfolioにおいても、およそ考えられる限りの周辺機器やプログラムが存在していた。これらの珍奇グッズについては、回を改めて紹介するつもりだったのだが、Mobile Pressが2005年冬号をもって休刊となってしまったので果たせなかったのは残念だ。

 今回の前フリは、筆者愛用のハーフサイズカメラ、MERCURY IIを取り上げてみた。このカメラは、外観に一目惚れをして購入したのだが、実にユニークな機構を備えた製品なのである。最大の特徴は、ロータリー式のシャッターで、これを格納するためにボディ上部が扇形に出っ張っている。シャッターを切ると、「ブーン」というような回転音がして、手にかすかなトルクが感じられるのも面白い。操作系がボディ前面に集中しており、なんとなくサイバーパンクな顔立ちのカメラである。






Comms Linkの構成
Organiser-II用のPC通信キット。専用ケーブル、ソフト、ACアダプタ、マニュアルが含まれる。

Comms Linkのコネクタ部
Organiser-II上部のコミュニケーションポートに接続するコネクタ。まるで試作品を見ているかのような無骨な形状だ。

Comms Linkの接続状況
Organiser-II上部に設けられたI/F用コネクタに、専用ケーブルを差し込む。ACアダプタを接続すれば準備完了!

Link-Up Packの構成
The Organiser用のPC接続キット。専用ケーブル、Linkソフトを内蔵したDatapak、マニュアルから構成されている。

Link-Up Cableの端部
まるでアマチュア工作を思わせる作りだ。Datapakからケーブルが生えているとでも表現すべきだろうか。

Link-Up Cableの装着状況
上のスロットはケーブル、下のスロットはLinkソフトPakに専有される。ただし、ソフトPakは、いったん本体にロードすれば取り外し可能。

Tera Termを用いた通信状況
Windows XP上でTera Termを起動し、The Organiserと接続しているところ。本来は、BASICのターミナルソフトウェアで通信を行う仕様だが、さすがにそこまではお付き合いできない。

Organiser-II用ACアダプタコネクタ
Organiser-IIのコミュニケーションポートに接続して利用するACアダプタコネクタ。最も単純なパーツである。

ACアダプタコネクタ接続状況
アダプタを介してAC電源からの給電を受ける。Organiser-IIのコミュニケーションポートは、様々な用途に利用可能である。

拡張バッテリユニット
Organiser-II用拡張バッテリユニット、DT/CELLPAKを装着。長さが倍近くになってしまうのが難点。

拡張バッテリユニットの制御基板
拡張バッテリユニットの制御基板は、Organiser-IIに何ら加工することなく装着することができる。

Comms Printer IIの構成
Organiser-IIの上部に、すっぽりとかぶせて利用するプリンタユニット。プリンタ本体、マニュアル、ACアダプタ、バーコードリーダという構成。

Comms Printer IIのメカ部
ロール紙収納カバーを外したところ。ドットインパクト方式を採用しており、1行あたり42キャラクタの印字が可能である。

Comms Printer II側面のコネクタ
側面には、ACアダプタとバーコードリーダとの接続コネクタが搭載される。反対側には、RS-232Cコネクタが実装されており、プリンタ装着時でもPCとのリンクが可能である。

Comms Printer IIの装着状況
Comms Printerを装着すると、このように極めて頭でっかちの形状となる。

Organiser-II Printerの元箱
Psion純正のOrganiser-II Printerの元箱。もうボロボロだが、一応レア物ということで写真を掲載しておく。

Organiser-IIの装着方法
このようにOrganiser-II Printerのトレイ部に本体を挿し込んで装着する。

Organiser-II Printerの使用状況
Organiser-IIを装着すると、プリンタ付きの端末装置といった外観になる。

Psion Datapak Formatter#1
Psion純正のDatapak Formatter。実は単なる紫外線消去装置なのだが、Psionのロゴが入っているのがポイント。

Psion Datapak Formatter#2
DatapakのEPROMをトレイに乗せて挿入し、紫外線消去を行う。

LEAP ELECTRONIC製EPROM ERASER
実用で使用するならば、こちら。秋葉原は秋月電子で購入したLEAP ELECTRONIC製のEPROM ERASER Model LER-121A。

RE/MTL611 Computer
Organiser-IIのOEM製品。本体形状はオリジナルと寸分違わないが、色が異なっている。Organiser-II LZをベースにした製品で、Flash Datapakが使用可能。

RE/MTL611の背面銘板
本体背面には銘板が添付されている。

Flash Datapak Utilitiesの画面
Flash Datapak用のユーティリティの起動画面。EPROMを用いた通常のDatapakと異なり、Organiser-II本体でフォーマットすることが可能である。

Flash Datapak
RE/MTL611に搭載されていたFlash Datapak。128KBの容量を持ち、Psion純正のフラッシュバックのOEMの製品である。

筆者宅のOrganiser-II
マトリックスIIリローデッドに出てくるエージェント・スミス並に増殖してしまったOrganiser-II。

MERCURY II
古典的ハーフカメラのMERCURY II(1945年製造)。アメリカのユニバーサルカメラ製の極めてユニークな機構を持つ製品である。

MERCURY II軍艦部
デザイン上の特徴となっている軍艦部の扇形の出っ張り。この中に円盤型シャッターが格納されている。表面には被写界深度の一覧表が貼られている。

MERCURY IIレンズ周辺部
フィルム巻き上げ、シャッタースピード調整等の操作系は、総て前面パネルに集約されている。レンズは、Tricor f3.5。

MERCURY II背面
フルマニュアルの露出ガイドが搭載されている。使い慣れると、とっても便利?かも知れない。

MERCURY II内部
回転円盤シャッター機構を持つMERCURY IIの内部。金属製シャッター幕が見える。一見、35mmフルサイズカメラのように見えるが、ハーフサイズカメラである。