2000年夏号:古典的謎ぱ~機 PS-1000



 謎ぱ~機マニアにとっては比較的有名な製品であるPS-1000は、その昔秋葉原のショップでも良く見かけることができた。筆者は1994年のコムデックス会場でも、このマシンが展示されていたのを見た記憶がある。

 PS-1000は、謎ぱ~機と呼ぶにふさわしい製品であった。このマシンは各メーカーから色々な名称で発売されていたのである。Zeos PocketPCやPB-100といったマシンは、どれもこのPS-1000をベースに、ブランド名称のみを変えたものであった。ところで、PS-1000のメーカーはどこなのだろうか?一説にはME-386を生み出した台湾のパームトップメーカー、Tidalwave社だと言われているが、はっきりしたことはわからない。マシンの外形やキーボードの作りなどから判断すると、おそらくはその通りなのであろう

 PS-1000はCPUにV30を搭載しているので、DOS/Cによる日本語化は比較的容易にできそうな感じを受けるのだが、そうは問屋が卸さない。 マシンには固有のクセがあり、ADDDEVといったフリーソフトによるデバイスドライバの組み込みが必要となる。しかし、一旦日本語環境が構築されてしまえば、実に快適に操作できる優れたマシンなのである。

 今回の好例前フリ記事は、「おもカメの話」について。おもカメとはおもちゃカメラの略称で、主にロシアで作成された低価格カメラのことである。記事で取り上げた「SMENA8M」は、本体の筐体こそプラスチックの安物チックではあるが、レンズはインダスターが採用されており、その写りは素晴らしい。最近では青山ブックセンターあたりでも、こうしたトイカメラを購入できるようになったが、当時はまだ通販が主流であり、ロシア製トイカメラの隠された性能については、一般に知られていなかった。






PS-1000のパッケージ
残念ながら箱は紛失してしまった。本体、専用シリパラケーブル各1本、ACアダプタ、マニュアルという構成。

PS-1000の外観
その後、続々と登場するパームトップ機のデザインの基本とも言える外観だ。大きくて見易いCGA液晶と、タッチタイピング可能なキーボードが特徴。

本体裏面の銘板シール
メーカ名は記載されていないが、台湾製であることが確認できる。

PS-1000背面
左から、バックアップボタン電池、メインバッテリー、独自形状のシリパラコネクタが並ぶ。バックアップ電池にはCR-2032、メインバッテリーには単3乾電池2本を使用。

PCMCIAカードトレイ
Poqet PCと同様のトレイタイプを採用。PCMCIA Type-Iのカードしか使用できない。

PS-1000のキーボード
非常に打ちやすいキーボード。後に登場するモバイルギアに一脈通じる快適なタイピングが可能。

シリパラコネクタ
通常はカバーで覆われているパラレル(左)、シリアル(右)コネクタ。独自コネクタ形状なので、付属の専用ケーブルが必要。

Race Penのメインメニュー
内蔵ROMには、Race Penと呼ばれるユーティリティーソフトが格納されている。もちろん英語版である。

11ドットフォントでの表示
11ドットフォントを使用して、Vzエディタで日本語テキストファイルを開いたところ。このサイズの文字が最も見やすい。

16ドットフォントでの表示
1画面当たりの情報量は少なくなるが、文字が大きいので老眼には最適なモードである。

8ドットフォントでの表示
情報量は増えるものの、やや細かすぎて見にくいかも。

簡易日本語エディタPEDの画面
CGA版PEDのヘルプ画面。英語環境のままで日本語のメモを作成できる優れもののエディタである。

SMENA 8Mのパッケージ
ロシア製おもちゃカメラSMENA 8Mのパッケージ。本体、ビニール製の安っぽいケース、取説が入っている。

SMENA 8M
実売価格3,300円の製品だけあって、その安っぽさは期待を決して裏切ることはない。

レンズ鏡胴に記されたお天気マーク
露出設定は「曇」「晴れ」などのお天気マークで行う。こんなところが余計おもちゃっぽい。でも、妙に郷愁をそそるデザインだ。

SMENA 8Mのレンズ
T-43と記載されたF=4/40mmのレンズ。安っぽい外観だが、光学系は有名ロシアレンズのインダスターと同じらしい。写りはおもちゃカメラの域を超えている。