■■■ Panac Model JE−1010 (1972年頃) ■■■


写真1:Panac Model JE-1010 本体外観


写真2:Panac Model JE-1010 蛍光表示管表示部分
■Panac Model JE−1010              
                                   
 Panac JE−1010は、既出のJE−800の上位バージョンに相
当する。JE−800ではメモリ機能は搭載されず、表示桁数も8桁止まりで
あったが、JE−1010ではメモリ機能を内蔵し、表示桁を10桁に拡張し
た。デザイン的にはJE−800と全く同じといって良いが、桁数が増えた分
だけ横幅が拡張している。キーボードは、JE−800の「×」と「+」のキ
ーが縮小され、空いたスペースにメモリ関連キー「RM」「CM」「M」の3
つが追加されている。小数点制御は0、2、3、4の4段階に設定可能。  

 本製品には製造年月を示す表示は無いが、外観デザインと部品構成から考え
ると、JE−800とほぼ同じ1972年以降の製品と思われる。     
写真3:Panac Model JE-1010 本体正面


写真4:Panac Model JE-1010 本体側面


写真5:Panac Model JE-1010 本体背面


写真6:本体裏面銘版のアップ


写真7:本体裏面


写真8:本体裏面の電池室


写真9:本体上面のロゴマーク2種


                                   
 JE−800はAC/DCの2電源駆動が可能であった。JE−1010で
も同様に2電源駆動が可能であるが、AC入力はアダプタを介している点が異
なっている。このため、JE−800では本体内部に電源トランスを内蔵して
いたが、JE−1010では省略され、本体の軽量化に貢献している。因みに
使用するACアダプタの型番はJL−021となっている。        

 本体のデザインはJE−800と同様、スペースエイジ感覚に富んだもので
工業デザインの傑作といっても差し支えないであろう。楕円形のボタンの採用
や、表示部分の傾斜など、現代の製品には見られない独特の味がある。本体の
外寸は17×19×7cm。本体定格は6VDC、1.4Wとなっている。 
JE−800が3Wであったことを考えると、かなりの省電力化がなされてい
る。以上から考えても、JE−1010の製造年月はJE−800より後と思
われる                                

 本体裏側にはバッテリボックスが搭載される。使用する電池は単二型で全部
で4本も用いる。電池ボックスには、ACアダプタ接続用のコネクタが搭載さ
れている。                              
写真10:Panac Model JE-1010 ロジック基板全景


写真11:Panac Model JE-1010 ロジック基板のアップ


写真12:演算用LSIのアップ


                                   
 8桁版であるJE−800では、メインとなる電卓専用LSIとしてTI社
製のワンチップ電卓LSI「TMS−0101NC」を使用していたが、10
桁版のJE−1010では三菱製のLSIを2個使用している。LSIの型番
はMA8163とMA8164で、共に24PinセラミックDIPパッケー
ジ製品だ。この他に、同じく三菱製ICであるM58235とM58203が
1個ずつ使用されている。古い電卓としては、部品構成もすっきりとしており
比較的集積化が進んでいる製品と言えよう。               

 蛍光表示管のドライブ用として、2SA749を22個使用している。蛍光
表示管は符号桁も含めて全部で11本あるため、各桁ごとに2個使っているこ
とになる。この他にも制御回路にはトランジスタが15本近く使われている。

 基板はベークライト製。製造年月を示す表示はどこにも見当たらない。蛍光
表示管はチューブの長さが25mm程度の小型ものもで、メタルのフレームに
マウントされている。蛍光表示管のリード線は基板に直接ハンダ付けされてお
り、組み立てにはかなりの手間がかかっている。表示はチューブの中に7セグ
メントを内蔵したタイプで、一番左側の管は符号桁となっている。符合桁には
メモリ(M)、マイナス(−)、バッテリーインジケータ(・)の3種類が表
示される。蛍光表示管表示部の後ろ側には、電源回路が搭載される。TDK製
DC−DCコンバータと思われるYLPT CT−1010と記載されたブロ
ック状の部品が搭載されていた。                    

 ロジック基板とキーボード基板とはコネクタで接続されている。キーボード
は磁石によるリレー接点タイプで、非常に堅牢な設計となっている。本体内部
には、NO2X01024のシールが添付されていた。          
写真13:蛍光表示管ドライブ回路周辺部


写真14:キーボードブロック裏面


写真15:蛍光表示管表示


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